図書館協会六十周年に寄せて
――大衆に奉仕する一大組織体へ
中井正一

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【テキスト中に現れる記号について】

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地付き]*『出版ニュース』一九五一年十月上旬号
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 ユネスコの国際的報告書を読むと、日本はイスラエルとパキスタンにはさまれて、日本は図書館に関して処女地 Virgin Soil であると書いてあるにすぎぬのである。
 私はこの数行を読むとき、いかにも敗れたる国のみじめな国際的取り扱いの地位を感じさせられたのである。
 一等国であったのは、軍艦「大和」と、「人間魚雷」だけであって、文化の組織としては、パキスタン級であると世界は見、一野蛮国扱いなのである。
 果たしてそうであろうか。しかも六十年の図書館の協会史をもっていてである。
 ここに私たちの反省すべき点があるのである。彼らが図書館というのは、公衆がつくった、公衆のための、公衆が主宰する図書館のことである。
 日本のこれまでの封建制の貴族の所有物であったとき、単にそれは財宝であって、人によって害せられず、水火で損ぜられないことがその主な目的であった風習
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