図書館の未来像
中井正一
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)綜合目録《ユニオン・カタローグ》
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概念は常に、技術の進展とともに変化してきた。図書館の概念もみずから、異なり発展しつつある。
文庫時代は、それは封建領主の財宝であって、大衆へのサービスの機能は全然考えられていないのである。ギリシャ、ローマ時代も、その意味では同じである。
図書館の名前の館の意味する、大衆の出入する意味に転化するのは、その文化様相の転換が、みずからその意味を創造してきたというべきであろう。
これに先行して、日本の貸本屋としての、大惣本のごときは、この意味で、大衆サービスの読書機構として、まことに興味あることである。三棟の土蔵にみちみちた明暦以来の大集書が、大衆サービスの前に整理され、その中から坪内逍遥などが生まれたことなどは、明治図書館への発達史上注目すべきである。惜しくも明治三十三年ごろにたおれ、図書館協会が、その十年前にできたことと思い合わせて、感慨にたえないのである。
今の大衆サービスとしての図書館の組織体は、まさに十九世紀―二十世紀の文化類型にふさわしい、個
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