昔のような一つの「主観」と取扱っていないで、「主体」とでも云う新たなるものの周辺で取扱われているのである。
こんな言葉の読み違えられる、断層のようなもののある時代、この雰囲気から「段階」なる言葉、「角度」などの言葉が新しく用いられ、やがて「原子力時代《アトミックエージ》」「機械時代《マシーンエージ》」の「エージ」の意味も又意味をもって来るかのようである。
私はこの不思議なとも思える現象を追求して見たくなって、subject なる言葉と、「気」なる言葉の変化の跡を辿って見たことがある。
Subject
subject, Subjekt, sujet なる言葉は、明治以来「主観」と訳されていたが、この言葉を辿って見ると、この言葉の原語自身が、とんでもなく、すでに読み違えられて来ているらしいのである。
もともと、この言葉はギリシア語の υποκειμενον[#υは帯気の気息記号(‘の上下が逆さまになったような記号)付き、ιはアキュートアクセント(´)付き] が語源であるが、プラトンでは「下に置かれている」というくらいの意味に使われて、哲学的なものでは未だないのである。アリス
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