機構への挑戦
――「場所」から「働き」へ――
中井正一

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)形態《モルフェ》
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 私はこの半年間にこんな経験をした。
 私は大きな組織と機関に属する者としてものの考え方が、場所とかスペースの考え方では割切れない、新たな考え方「働き」或いは「機能」(ファンクション)でもって解かなければ、解釈のつかない問題にぶっつかった。そのことについて一つの報告を試みよう。
 国会図書館には支部図書館という一つの機構があって、それはアメリカの国会図書館にもないところの、新しい機構である。それは各省と司法部等各官庁の図書館を、支部図書館と名づけて、国会図書館を中心として、一グループの図書館群を構成する機構である。この支部図書館がいよいよ出来上る時、過半数の人々はまことにその前途を危ぶんだのである。
 何故ならば、官庁には官庁独特のセクト主義があって、横の連絡をつけることはいうべくして現実には空想に近いものであると人々は思ったのである。
 このプランに夢をえがく者をもって、人は官僚を未だ知らざる人として、秘かに危ぶんだのであった。私もまた、そ
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