れには深い不安の思いをもった一人であったが、私は敢えてこのプランをもって、丹那トンネルの工事になぞらえたのである。
十八の支部図書館長等は、半信半疑のまま、法律の命ずるところに従ってこのプランに突込んでいったのである。初期の図書館の概念は、おおむね図書室と書庫のスペースと、書庫とその中の本及びその本をまもる司書とで構成されていた。甚しいのになると、その省の組合員の厚生機関ぐらいに考えられていた所もないではなかった。まことにあるかなきかの形式的な、組織に過ぎなかった。去年の八月半ばの私達の心持は何となく、不安と暗い思いであった。
やがて秋、国内の官庁出版物を米国に送る事によって、アメリカの国会図書館から、交換として送って来る、外国官庁出版物は時には月一万部を越える事すらあったのである。これに目をつけたのが農林省であった。彼等は近藤康男氏を主班として渉外局、調査局及び八つの研究所を、打って一丸としてこの外国図書に向って殺到して来たのである。
そこではもはや、本を読むとか、本を納めておくとかいうスペース、場所としての図書館ではなくして、それは図書課とでもいうべき、大きな組織としての「働
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