きずる意味において、この外的現象は彼等クリューの内面判断構造を具象化する。内なるものを外に見出す意味で深い象徴である。蓋然判断の判断自体の中にも身をもって拶入することで、判断は即意志の構造をもって可能を必然にまで止揚する。そこに観覧者の境地はこの中間領域にあるというべきであろう。
これまでのべたのは競争性の美的要素である。次に筋肉操作の美的要素についてのべよう。
6
筋肉操作の美感。
「健康状態に在ってわれわれが自己の奥底の声に耳をすますとき、秘めやかな、甘美な歌というべきものが聞える。生きていることを感ずること、そこにこそ、すべての快感の根底と同じく、すべての芸術の根底があるのではあるまいか」とギュヨウはのべている。「生きていることを感ずること」すなわち生を urteilen する意味での反省[#「反省」に傍点]に対立して beurteilen 評価する意味で感ずる[#「感ずる」に傍点]ことは、たしかに美学の最も深い根底を構成する。ただ問題はその評価のメルクマールが何であるかにある。近代美学においてカントおよびその発展者であるコーヘン等の立場がその哲学的体系に関連して「合法
前へ
次へ
全20ページ中9ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
中井 正一 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング