が肉体蔑視の過去の理想論に、正しき抗議を提出し始めている時においてまたなおさらである。
3
スポーツの解釈にあたって、私はその中に二つの要素を認める。その上に複合体としてスポーツの意味が構成される。すなわちそれは競争性[#「競争性」に傍点]と筋肉操作[#「筋肉操作」に傍点]の二作用である。
それがたとえ肉体的運動であっても散歩ではスポーツの意味を構成しない。それはウォーキングレース、登山のごとく、距離あるいは高さにおける量的比較の可能をもってのみスポーツの意味をもつ。また競争性も単に麻雀のごとく知的の場合もスポーツの意味の外にある。この二つの要素の複合的構造の上にスポーツの意味が構成される。もしそれが許さるるならば、従って各々二つの要素の上にスポーツのもつ快感の構造が依拠することとなる。
4
競争性の快感。
競争性の意味は本質的に量的比較でなければならない。従ってそれは同質的でなければならない。換言すれば、二個以上の異質的実体がその共通なる属性の領域内で、すなわち同質的属性の上にその量的比較を行うことを指す。
そこに異質的なるものの量的転換が行われること、あたかも
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