ものになりつつある。
大衆の見る作用が、すでに売りものに、売りものどころかもっと大きな機構の犠牲になってひきゆがめられている証拠を私たちはいたるところに見せつけられるのである。誰一人真にその中で楽しんでいるのではなくして、人々と共に、何かに引きずられているのである。
「見ること」の正しさを守りつづけること、そして大衆を見ることの正しさの中に奪いかえすこと、この戦いが否定を媒介としてみずからを対象化するという、さながらの物になりきるという、「見ること」、そのことの中にある本質にほかならないのでもある。
[#地付き]*『国民美術』一九三七年四月号
底本:「中井正一全集 第三巻 現代芸術の空間」美術出版社
1981(昭和56)年5月25日新装第1刷
初出:「国民芸術」
1937(昭和12)年4月号
入力:鈴木厚司
校正:染川隆俊
2008年4月15日作成
青空文庫作成ファイル:
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