真実価格以上に騰貴し、そして経費の増加にもかかわらず、土地の耕作をしてより[#「より」に傍点]有利な資本用途たらしめるからである。』
(一五〇)アダム・スミスの価値の標準に対する、マルサス氏の次の考察は最も正しい。『アダム・スミスは、明かに、労働をもって価値の標準尺度[#「労働をもって価値の標準尺度」に傍点]とし、そして穀物をもって労働の尺度とする彼れの習慣よりして、この論脈に引入れられた。しかし、穀物が労働の極めて不正確な尺度であることは吾々自身の国の歴史が十分に証明するであろう。我国においては、労働は、穀物に比較して、啻に毎年ばかりでなく、更に毎世紀に、そして一〇年、二〇年、また三〇年間に亘って、極めて大なるかつ驚くべき変動を経験し来ったことが、見出されるであろう。そして労働もある他の貨物も[#「そして労働もある他の貨物も」に傍点]、真実交換価値の正確な尺度となることは出来ないということ[#「真実交換価値の正確な尺度となることは出来ないということ」に傍点]は、今では経済学の最も争い得ない学説の一つであると考えられており、そして実際に、交換価値のまさにこの定義に随伴し来るものである。』
もし穀物も労働も真実交換価値の正確な尺度でないとするならば、――両者は明かに、そうではないが、――他のどの貨物がそうであるか? ――確かに何もない。かくしてもし貨物の真実価格という表現が何らかの意味を有つとするならば、それは、マルサス氏が地代に関する試論において述べている意味でなければならない、――すなわちそれは、貨物を生産するに必要な資本及び労働の比例的分量によって測定されなければならぬのである。
マルサス氏の『地代の性質に関する研究』において、彼は曰く、『一国の通貨の不規則なことや、その他の一時的な偶発的な諸事情を別にすれば、穀物の高い比較的貨幣価格の原因は、その高い比較的真実価格[#「その高い比較的真実価格」に傍点]、またはそれを生産するに用いられねばならぬ資本及び労働のより大なる分量である[#「またはそれを生産するに用いられねばならぬ資本及び労働のより大なる分量である」に傍点]。』(註)。
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(註)四〇頁。[#第一章第五節(二〇)のこと]
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これは思うに、穀物であろうとまたはその他の何らかの貨物であろうと、その価格のすべての永久的変動の正確な説明である。一貨物の価格が永久的に騰貴し得るのは、より[#「より」に傍点]多量の資本及び労働がそれを生産するに用いられねばならぬからか、または貨幣の価値が下落したからであり、これに反し、その価格が下落し得るのは、より[#「より」に傍点]少量の資本及び労働がそれを生産するに用いられるからであるか、または貨幣の価格が騰貴したからである。
そのいずれかでなければ[#「ば」は底本では「で」]ならぬこれら二つの中《うち》の後者すなわち貨幣価値の変動から生ずる変動は、同時にすべての貨物に対し共通である。しかし前者の原因から生ずる変動は、その生産に必要とされる労働が増減した特定の貨物に限られている。穀物の自由輸入を許すことにより、または農業における改良によって、粗生生産物は下落するであろう。しかしいかなる他の貨物も、その構成に参加した粗生生産物の真実価値または生産費の下落に比例して下落する以外には、影響されないであろう。
マルサス氏は、この原理を認めているのであるから、思うに、国内におけるすべての貨物の全貨幣価値は穀価の下落に正確に比例して下落しなければならない、と矛盾なしに主張することは出来ない。もし国内において消費される穀価が一年につき一千万の価値を有ち、そして消費される製造貨物と外国貨物が二千万の価値を有し、合計三千万をなすならば、年々の支出は、穀物が五〇%だけ、すなわち一千万から五百万に、下落したから、一千五百万減少した、と推論するのは許され得ないであろう。
これらの製造品の構成に入込んだ粗生生産物の価値は、例えば、その全価値の二〇%を超過せず、従って製造貨物の価値の下落は、二千万から一千万へではなく、単に二千万から一千八百万へであるに過ぎないであろう。そして穀価の五〇%下落の後には、年々の支出の全額は、三千万から一千五百万へは下落せずして、三千万から二千三百万に下落するであろう(註)。
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(註)製造品はもちろんかかる比例においては下落し得ないであろう、けだし仮定された事情の下においては、異れる国々の新しい貴金属分配が起るであろうからである。吾々の低廉な貨物は穀物及び金と引換えに輸出され、ついに金の蓄積がその価値を下落せしめ、かつ貨物の貨幣価格を騰貴せしめるに至るであろう。
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