の率の利潤を得ている一製造業者が本来的に支払う四、〇〇〇フランの租税は、もしこの製造貨物が単に五人の異る人々の手を経るのみであるならば、消費者にとり六、七三四フランに高められるであろうと計算した。この計算は次の仮定に基くものである。すなわち租税を最初に前払した者は、次の製造業者から四、四〇〇フランを受取り、そして彼はまたも次の者から四、八四〇フランを受取り、かくて各段階においてその価値に対する一〇%がそれに附加されるということである。これは、この租税の価値が、複利で、一年につき一〇%の率でではなくて、その進行の各段階において一〇%の絶対率で、蓄積されつつあることを、仮定するものである。ドゥ・シモンド氏のこの意見は、もしこの租税の最初の前払と課税貨物の消費者への売却との間に五箇年が経過するのであるならば、正しいであろう。しかしもし単に一年が経過するに過ぎないならば、二、七三四フランではなく四〇〇フランの報償が、この租税の前払に寄与したすべての者に、――その貨物が五人の製造業者の手を経ようと――五十人の手を経ようと――一年につき一〇%の率における利潤を与えるであろう。
[#改ページ]

    第三十章 需要及び供給の価格に及ぼす影響について

(一三六)貨物の価格を終局的に左右しなければならぬものは生産費であり、そして、しばしば言われ来った如くに、供給と需要との間の比例ではない。すなわち供給と需要との比例は、もちろん一時の間、需要の増減に従って貨物の供給が増減するまでは、その市場価格に影響を及ぼすかもしれぬが、しかしこの結果はただ短期間のものに過ぎないであろう。
 帽子の生産費を減ずるならば、その価格は、需要が二倍、三倍、または四倍となっても、結局その新しい自然価格にまで下落するであろう。生命を保持するための食物や衣服の自然価格を減少することによって人々の生計費を減少するならば、労賃は労働者に対する需要が極めて著しく増加しても、結局下落するであろう。
 貨物の価格は、もっぱら、供給の需要に対する比例、に依存するという意見は、経済学においてほとんど一つの公理となるに至り、そして斯学における多くの誤謬の根源となって来ている。ビウキャナン氏をして、労賃は食糧品の価格の騰落によっては影響されず、もっぱら労働の需要と供給とによって影響されると主張せしめ、また労働の労賃に対する租税は労賃を騰貴せしめないが、けだしそれは労働者に対する需要の供給に対する比例を変更しないからである、と主張せしめたものは、この意見である。
(一三七)一貨物に対する需要は、その附加的分量が購買されまたは消費されないならば、増加すると言われ得ないが、しかもかかる事情の下において、その貨幣価値は騰貴するかもしれない。かくて、もし貨幣の価値が下落するならば、あらゆる貨物の価格は騰貴するであろうが、けだし、競争者達の各々は、その購買に当り以前よりもより[#「より」に傍点]多くの貨幣を喜んで支出するであろうからである。しかしその価格が一〇%または二〇%騰貴しても、もし以前よりもより[#「より」に傍点]多くが購買されないならば、おそらくは、その貨物の価格の変動がそれに対する需要の増加によって齎されたものであるとは、言い得ないであろう。その自然価格、その貨幣生産費は、真実に、変動した貨幣の価値によって変動したのであろう。需要には何らの増加もなくして、その貨物の価格は当然にその新しい価値に調整されるであろう。
 セイ氏は曰く、『諸物はそれまでは下落し得るが、それ以下になれば生産が全然止るかまたは減少されるからそれ以下には下落し得ない最低価格を、生産費が決定することを、吾々は知った。』第二巻、二六頁。
 彼は後に曰く、鉱山の発見以来金に対する需要は供給よりも更により[#「より」に傍点]大なる比例で増加したので、『財貨で測ったその価格は、十対一の比例では下落せずして、単に四対一の比例で下落したに過ぎなかった。』換言すれば、その自然価値の下落に比例しては下落せずして、供給が需要に超過したのに比例して下落した(註)。――『あらゆる貨物の価値は常に、需要に正比例し供給に反比例して騰貴する[#「あらゆる貨物の価値は常に、需要に正比例し供給に反比例して騰貴する」に傍点]。』
[#ここから2字下げ、折り返して3字下げ]
(註)もし現実に存在すると同じ金及び銀の分量がありながら、これらの金属がただ什器や装飾品の製造にのみ用いられるならば、それは豊富となり、そして現在よりも極めてより[#「より」に傍点]低廉になるであろう。換言すれば、それを何らかの他種の財貨と交換するに当って、吾々は今に比例してそのより[#「より」に傍点]大なる分量を与えざるを得ないであろう。しかしこれらの金属の多量が貨幣として用いら
前へ 次へ
全173ページ中154ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
リカードウ デイヴィッド の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング