ンドにおいてはヨオロッパの他の地方と同様に、穀物の貨幣価格は騰貴し[#「穀物の貨幣価格は騰貴し」に傍点]、金属の真実価値は下落した[#「金属の真実価値は下落した」に白丸傍点]。従ってその分量は、他の地方と同様にその国において、そして土地及び労働の年々の生産物とほとんど同一の比例で[#「そして土地及び労働の年々の生産物とほとんど同一の比例で」に傍点]、増加したに相違ない。しかしながらこれらの金属量のかかる増加は、その年々の生産物を増加せしめず、この国の製造業や農業を改善しもしなければ、またその住民の境遇を改善しもしなかったように思われる。鉱山を所有する国たるスペイン及びポルトガルは、ポウランドに次いで、おそらくヨオロッパにおける二つの最も貧しい国である。しかしながら貴金属の価値は、啻に運賃及び保険料のみならず、更に貴金属の輸出が禁止されているかまたは関税を課せられているために密貿易の費用をも負担している所のヨオロッパの他の地方におけるよりも、スペイン及びポルトガルにおいてより低くなければならない[#「スペイン及びポルトガルにおいてより低くなければならない」に傍点]。しかしながらそれらの国はヨオロッパの大部分よりもより[#「より」に傍点]貧しいのである。スペイン及びポルトガルにおいて封建制度が廃止[#「廃止」は底本では「発止」]されているとはいえ、その後を継いだものは遥かにより[#「より」に傍点]良い制度ではなかった。』
 スミス博士の議論は思うにこうである。すなわち、金は、穀物で評価される時には、他の国におけるよりもスペインにおいてより[#「より」に傍点]低廉であり、そしてこのことの証明は、穀物を金の代償として他国がスペインに与えるということではなく、毛織布や砂糖や鉄器をこの金属の代償としてそれらの国が与えるということなのである。
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    第二十九章 生産者によって支払われる租税

(一三四)セイ氏は、製造貨物に対する租税が、その製造過程の後期よりもむしろ初期に課せられた場合に起る不都合を、大いに誇大視している。貨物がその手を順次に通過する製造業者は、租税を前払しなければならない結果、より[#「より」に傍点]大なる資金を用いねばならず、このことはしばしばその資本と信用が極めて少い製造業者に対し、著しい困難を伴う、と彼は言っている。かかる考察に対してはいかなる反対論もなされ得ない。
 彼が説いているもう一つの不都合は、租税の前払の結果、この前払に対する利潤もまた消費者に課せられなければならず、そしてこの附加的租税は国庫が何らの利益をも得ない所のものであるということである。
 この後の反対論においては私はセイ氏に同意することは出来ない。国家は直ちに一、〇〇〇|磅《ポンド》を徴収せんと欲し、そしてそれを製造業者に賦課したが、彼は十二箇月の間はそれをその完成貨物の消費者に転嫁し得ない、と吾々は仮定しよう。かかる十二箇月の遅延の結果として、彼は啻にこの租税額たる一、〇〇〇|磅《ポンド》のみならず、更におそらく一、〇〇〇|磅《ポンド》――一〇〇|磅《ポンド》は前払された一、〇〇〇|磅《ポンド》に対する利子である――の附加的価格を、その貨物に課せざるを得ない。しかし、消費者の支払う一〇〇|磅《ポンド》というこの附加額に対する代償として、消費者は真実の利益を得るが、けだし政府が直ちに要求しまた結局彼が支払わなければならぬ租税の彼れの支払が、一年間延期されたことになるからである。従って一、〇〇〇|磅《ポンド》を必要とした製造業者にそれを一〇%またはその他の協定せらるべき利率で貸付ける機会が、彼に与えられたのである。金利が一〇%の時に、一年の終りに支払わるべき一千百|磅《ポンド》は、直ちに支払わるべき一、〇〇〇|磅《ポンド》以上の価値は有たない。もしも政府がその租税の収納をその貨物の製造が完了するまで一年間延期するならば、政府はおそらく利附大蔵省証券を発行せざるを得ないであろうが、それは、消費者が価格において節約するだけのものを――その製造業者が租税の結果として彼自身の真実利得に加えもし得べかりし価格部分を除く――利子として支払うであろう。もしこの大蔵省証券の利子として政府が五%を支払ったとすれば、五〇|磅《ポンド》の租税がそれを発行しないことによって節約される。もし製造業者が附加的資本を五%で借入れ、そして消費者に一〇%を課するならば、彼もまたその前払に対し、その日常利潤以上に五%を利得するであろう、従って製造業者も政府も共に消費者が支払う額を正確に利得しまたは節約することになるのである。
(一三五)シモンド氏は、その名著『商業上の富について[#「商業上の富について」に傍点]』において、セイ氏と同一の論法を辿って、一〇%なる適度
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