に傍点]。価格がそれ以上であるかないかは、需要に依存する。』
 この章句は当然読者を導いて、この著者は地代の性質を誤解せず、そして彼は社会の必要がその耕作を要求する質の土地は、『その生産物の通常価格[#「その生産物の通常価格」に傍点]』に依存し『それが土地の耕作に用いられねばならぬ資本並びにその通常利潤を償うに足る[#「それが土地の耕作に用いられねばならぬ資本並びにその通常利潤を償うに足る」に傍点]』か否か[#「か否か」に傍点]、に依存することを知っていたに相違ない、と結論せしめるであろう。
 しかし彼は、『土地の生産物中には、それに対する需要が常に、それを市場に齎すに足る程度よりもより[#「より」に傍点]大なる価格を生ぜしめるが如き大いさなければならぬある部分がある』という観念を採っており、そして彼は食物をもってかかる部分の一つと考えたのである。
 彼は曰く、『土地は、ほとんどいかなる位置にあっても、食物を市場に齎すに必要なすべての労働を、この労働がかつて維持されたことのないほど最も豊かに維持するに足るよりも、より[#「より」に傍点]多量の食物を生産するものである。その剰余もまた常に、その労働を雇傭する資本並びにその利潤を償うに足るよりもより[#「より」に傍点]多い。従って常に若干のものが地主に対する地代として残るのである。』
 しかしこれについて彼はいかなる証明を与えているか? ――次の主張以外にはない、すなわち『ノルウェイ及びスコットランドにおける最も不毛な沼地も家畜に対するある種類の牧草を生産するが、その牛乳及び繁殖は常に、啻に家畜を飼養するに必要なすべての労働を維持し、かつ農業者または牛群あるいは羊群の所有者に通常利潤を支払うのみならず、更に地主にあるわずかの地代を与えてなお余りがある。』さて私はこのことについて一つの疑《うたがい》を挟むことを許されるであろう。私は、今日でも最も未開のものから最も文明の進んだものに至るまでのあらゆる国において、土地に用いられた資本並びにその国の通常利潤を償うに足る価値を有つ生産物を産出し得ざるが如き質の土地があると信ずる。アメリカではこれが事実であることを吾々はすべて知っているが、しかもなお何人も、地代を左右する諸原理がアメリカとヨオロッパとで異っているとは主張しない。しかしもし英国が極めて耕作において進歩しているために、現在地代を与えない土地は少しも残っていないということが真実であっても、以前にはかかる土地が存在していたに相違ないということもまた同様に真実であろう。そしてそれが存在するか否かはこの問題にとって少しも需要ではない。けだしもし資本の囘収並びにその通常利潤しか産出しない土地において用いられる資本が大英国にあるならば、それが古い土地において用いられていようと新しい土地において用いられていようと同一であるからである。もし一農業者が七年または十四年の期限で借地を契約するならば、彼は現在の穀物及び粗生生産物の価格で、彼が支出せざるを得ぬ資本部分を囘収し、その地代を支払い、かつ一般利潤を取得し得るのを知っているから、一〇、〇〇〇|磅《ポンド》の資本をそれに用いんと企て得よう。彼は最後の一、〇〇〇|磅《ポンド》が資本の通常利潤を得られるほど生産的に用いられ得ない限り、一一、〇〇〇|磅《ポンド》を用いることはしないであろう。彼れのこれを用いるか否かについての計算においては、彼は単に粗生生産物の価格がその出費と利潤を補償するに足るか否かを考察するに過ぎないが、それは彼は何らの附加的地代も支払う必要のないことを知っているからである。彼れの借地期限満了の際ですら、もし彼れの地主が、この一、〇〇〇|磅《ポンド》の附加額が用いられたからといって地代を要求するならば、彼はこの附加額を引去るであろうから、彼れの地代は騰貴しないであろう。けだし仮定によれば、彼はそれを用いることによって、単に、何らかの他の資本の用途によって彼が取得し得る通常利潤を得るに過ぎないからである。従って粗生生産物の価格がより[#「より」に傍点]以上に騰貴しない限り、または同じことであるが、普通かつ一般的の利潤率が下落しない限り、彼はそれに対して地代を支払う余裕を有たぬのである。
(一一五)もしアダム・スミスの明敏さがこの事実に向けられていたならば、彼は、地代が粗生生産物の価格の構成部分の一つであるとは主張しなかったであろう。けだし価格はどこでも、それに対して何らの地代も支払われないこの最終資本部分によって得られる報酬によって左右されるからである。もし彼がこの原理に考え及んでいたならば、彼は鉱山の地代と土地の地代とを左右する所の法則に区別を設けはしなかったであろう。
 彼は曰く、『炭坑がある地代を与え得るか否かは、一部分はその肥
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