沃度に、そして一部分はその位置に依存する。いかなる種類の鉱山も、一定量の労働によって――それから得られ得る鉱石量が、同一量の労働によって同一種類の他の鉱山の大部分から得られ得る所のもの以上であるか以下であるかに従って、肥沃であるとも貧弱であるとも言われよう。有利な位置にある若干の炭坑も貧弱であるために採掘され得ない。その生産物は出費を償わない。それは利潤もまた地代も与え得ない。その生産物が、辛うじて労働に支払をなしその通常利潤と共にその採掘に使用された資本を補償するに足る如き炭坑が若干ある。それはこの事業の企業者には若干の利潤を支払うが、しかし何らの地代をも地主に支払わない。それは、自分自身が企業者であるためにそれに用いる資本の通常利潤を得る地主以外の何人によっても、有利には採掘され得ない。スコットランドにおける多くの炭坑はかかる仕方で採掘されており、それ以外の仕方では採掘され得ない。地主は他の何人にも若干の地代を支払わずにそれを採掘することを許さないであろうし、また何人も少しでも地代を支払う余裕はないであろう。
『この同じ国の他の炭坑は、十分肥沃ではあるが、その位置のために採掘され得ない。採掘費を支弁するに足る鉱物量が、通常のまたは通常以下の労働量によって、その炭坑から採取され得ようが、しかし人口が稀薄であり、道路か水運かの無い内地地方においては、この分量が売捌《うりさば》かれ得ないであろう。』地代の全原理はここに見事にかつ明截《めいせつ》に説明されており、そのあらゆる言葉は鉱山に対すると同様に土地に対しても適用され得る。しかも彼は主張する、『地上の地所においてはこれと異る。その生産物とその地代との両者の比例はその絶対的肥沃度に比例し、その相対的肥沃度には比例しない』と。しかし地代を与えない土地はないと仮定しよう。ある時は最劣等地に対する地代額は、資本の出費と資本の通常利潤を超過する生産物の価値とに、比例するであろう。かくて同一の原理がややより[#「より」に傍点]良い質を有ちまたはより[#「より」に傍点]有利な位置を有つ土地の地代を支配し、従ってこの土地の地代は、それよりも劣る土地の地代を、それが有つより[#「より」に傍点]優れた利益だけ超過するであろう。同一のことが第三等地の地代についても言い得、かくて最優等地に及ぶ。しからば、土地の地代として支払わるべき生産物部分を決定するものが土地の相対的肥沃度であるということは、鉱山の相対的肥沃度が鉱山地代として支払わるべきその生産物部分を決定するということと同様に、確実ではないか?
 アダム・スミスが採掘費並びに用いられた資本の通常利潤を支弁するに足るのみであるためその所有者が採掘する他ないような若干の鉱山がある、ということを明言した以上、吾々は、すべての鉱山生産物の価格を左右するものはかかる特定の鉱山であるということを彼が承認するものと予期すべきであろう。もし古い鉱山が、必要とされる石炭量を供給するに足りないならば、石炭の価格は騰貴し、そして、新しくかつより[#「より」に傍点]劣れる鉱山の所有者が、その鉱山の採掘によって資本の普通利潤を取得し得ることを見出すに至るまでは、それは騰貴し続けるであろう。もしその鉱山がかなり豊富であるならば、彼れの資本をかくの如く使用するのが自分の利益となるに至るまでは、騰貴は甚《はなはだ》しくはないであろう。しかし、もしそれがかなり豊富でないならば、価格は、その出費と資本の通常利潤とを支払うに足るだけの金銭を彼に与えるに至るまで騰貴しなければならないことは、明かである。かくて石炭の価格を左右するものは常に最も貧弱な鉱山であることがわかる。しかしながら、アダム・スミスは違った意見も有っている。すなわち曰く、『最も肥沃な炭坑はまた、その近隣のすべての他の炭坑の炭価を左右する。この炭坑の所有者と企業者とは、彼らのすべての隣人よりも下値に売ることによって、前者は彼がより[#「より」に傍点]大なる地代を取得することが出来、後者は彼がより[#「より」に傍点]大なる利潤を取得することが出来ることを見出す。彼らの隣人は、そう容易にそれに堪え得ず、それは彼らの地代と利潤とを常に減少せしめまた時にはそれを全然無くしてしまうとはいえ、直ちにそれと同一の価値で売らざるを得なくなる。若干の鉱山は全然抛棄され、他のものは地代を与え得ず、そして単に所有者によって採掘され得るのみである。』もし石炭に対する需要が減少するならば、またはもし新行程によって分量が増加されるならば、価格は下落し若干の鉱山は抛棄されるであろう。しかしあらゆる場合において価格は、地代を課せられることなくして採掘される鉱山の出費と利潤とを支払うに足らなければならない。従って価格を左右するものは最も貧弱な鉱山である
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