ィは価格において騰貴する。そしてもしこの結果が一国に限られるならば、それがその外国貿易に及ぼす影響は、一般課税によって惹起される貨物の価格騰貴と同一であろう。従って一国に限られた貨幣価値の下落から生ずる影響を検討する時には、吾々はまた一国に限られた貨物の価格騰貴から生ずる影響を検討しているわけである。実際、アダム・スミスはこの二つの場合の類似を十分知っており、そしてその輸出禁止の結果としてのスペインにおける貨幣のまたは彼れのいわゆる銀の価値の下落は、スペイン製造業及び外国貿易に極めて有害であることを、論理一貫して主張した。『しかし、特定国の特殊な地位かまたはその政治組織の結果たる銀価の下落が、単にその国に起るに過ぎないということは、極めて重大な事柄であり、それは何人かを真実により[#「より」に傍点]富ましめる傾向がある所かあらゆる者を真実により[#「より」に傍点]貧しからしめる傾向があるのである。この場合その国に特有な[#「この場合その国に特有な」に傍点]、すべての貨物の貨幣価格の騰貴は[#「すべての貨物の貨幣価格の騰貴は」に傍点]、その内部で行われているあらゆる種類の産業を多かれ少かれ阻害し、かつ外国国民をして、自国の労働者が提供し得るよりもより[#「より」に傍点]少量の銀に対してほとんどすべての種類の財貨を提供することによって、啻に外国市場だけではなく内国市場においてすらそれを下値に売るを得せしめる傾向を有っている。』第二巻、二七八頁。(訳者註)
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(訳者註)キャナン版、第二巻、一二――三頁。
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 その量が人為的に豊富にさせられたことから起る所の、一国における銀の価値下落の有つ不利益の一つは、――そして私はその唯一のものと考えるが――スミス博士により能く説明されている。もしも金銀の取引が自由であるならば、『外国に出るべき金額は何物とも引換えられずに出ることはなく、同一の価値を有つある種の財貨を持ち込むであろう。かかる財貨もまた、すべてがその消費と引換えに何物をも生産しない怠惰な者によって消費せらるべき単なる奢侈品及び高価品であるわけではないであろう。怠惰な者の真の富と収入とは、この異常な金銀の輸出によっては増加されないであろうから、彼らの消費もまたそれによっては増加されないであろう。それらの財貨は、おそらくはその大部分、確実にはそのある部分は、彼らの消費の全価値を利潤と共に再生産すべき勤勉な者の雇傭と維持とのための、原料や道具や食料品から成っている。かくて社会の死せる貯財の一部分が生ける貯財に転化され、そして以前に用いられていた以上の分量の勤労を動かすであろう。』(訳者註)
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(訳者註)同上、一四――五頁。
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 貨物の価格が騰貴せしめられるときに、課税か貴金属の流入かにより貴金属の自由貿易を許さないことによって、社会の死せる貯財の一部分は生ける資本に転化されるのを妨げられる、――より[#「より」に傍点]多量の勤労が用いられるのが妨げられる。しかしこれが害悪の全量であり、それは銀の輸出が許されまたは黙許されている国は少しも感じない害悪である。
 諸国間の為替が平価にあるのは、事物の実状において諸国がその貨物の流通をなすに必要な通貨量を正確に有っている時に限られる。もし貴金属の取引が完全に自由であり、そして貨幣が何らの費用をも要せずして輸出され得るならば、為替はあらゆる国において平価以外には有り得ないであろう。もし貴金属の取引が完全に自由であり、その輸送の費用がかかってもそれが一般に流通に用いられるならば、為替はそのいずれの国においても、これらの費用だけ以上に平価から決して偏倚《へんい》し得ぬであろう。これらの原則は思うに今やどこにおいても異論のない所である。もしある国が、正金と交換されず従ってある固定的な本位によって左右されない紙幣を用いるならば、その国における為替は、その貨幣が、貨幣の取引が自由でありかつ貴金属類が貨幣としてかまたは貨幣の本位として用いられている場合に、一般的商業によってその国に割当てられた分量を超過して増加されると同一の比例で、平価から偏倚するであろう。
 もし通商の一般的作用によって、既知の量目《りょうめ》と品位とを有つ地金で作られた一千万|磅《ポンド》貨が英国の持分であり、そして一千万の紙幣|磅《ポンド》がそれに代えられるならば、為替には何らの影響も生み出されないであろう。しかしもし紙幣発行権の濫用によって、一千一百万|磅《ポンド》が流通に用いられるならば、為替相場は英国にとり九%逆になるであろう。もし一千二百万が用いられるならば、為替相場は英国にとり一六%、そしてもし二千万ならば為替相場は五〇%逆になるであろ
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