、。しかしながらこの結果を生み出すためには、紙幣が用いられることは必要ではない。もし通商が自由であり、そして既知の量目と品位とを有つ貴金属類が貨幣としてかまたは貨幣の本位として用いられているならば流通したであろうよりも、より[#「より」に傍点]多量の磅《ポンド》を、流通界に保留するいかなる原因も、同一の結果を正確に生み出すであろう。貨幣の削減によって、各|磅《ポンド》が法律上含有すべき分量の金または銀を含有していないと仮定すれば、それが削減されなかった場合よりもより[#「より」に傍点]多数のかかる磅《ポンド》が流通に用いられるであろう。もし各|磅《ポンド》から十分の一が除かれるならば、一千万ではなく一千一百万のかかる磅《ポンド》が用いられるであろう。もし十分の二が除かれるならば、一千二百万が用いられるであろう。そしてもし二分の一が除かれるならば、三千万[#「三千万」はママ]は過剰ではないことが見出されるであろう。もし一千万の代りにこの二千万が用いられるならば、英国におけるあらゆる貨物はその以前の価格の二倍に引上げられ、そして為替相場は英国にとり五〇%逆になるであろう。しかしこのことは外国貿易に何らの混乱をも惹起《ひきおこ》さず、いかなる一貨物の製造を阻害することもないであろう。例えばもし毛織布が英国において一反につき二〇|磅《ポンド》から四〇|磅《ポンド》に騰貴したとしても、吾々はそれを騰貴前とまさに同様に自由にその以後も輸出するであろう。けだし五〇%の補償は為替において外国購買者になされ、その結果、彼れの貨幣二〇|磅《ポンド》をもって、英国において四〇|磅《ポンド》の負債を支払い得べき手形を彼は購買し得るであろうからである。同様にして、もし彼が、国内において二〇|磅《ポンド》を費しそして英国において四〇|磅《ポンド》で売れる貨物を輸出するとしても、彼は単に二〇|磅《ポンド》を受取るに過ぎないであろう、けだし英国における四〇|磅《ポンド》は外国宛の二〇|磅《ポンド》手形を購買するに過ぎないからである。単に一千万が必要であるに過ぎぬ場合に、二千万をして強いて英国における流通の仕事を遂行せしめるいかなる原因によっても、同一の結果が生ずるであろう。もし貴金属の輸出禁止というが如き不合理な法律が施行され得、そしてかかる禁止の結果が一千万ではなく造幣早々の一千一百万の良質の磅《ポンド》を強いて流通せしめることであったならば、為替相場は英国にとり九%逆になり、一千二百万ならば一六%、二千万ならば五〇%、英国にとり逆になるであろう。しかし英国の製造業にはいかなる阻害も与えられないであろう。もし内国貨物が英国において高価に売られるならば、外国貨物も同様であろう。そして外国の輸入業者が、一方において、その貨物が高価な率で売られる時に、為替相場で補償を与えざるを得ず、そして英国の貨物を高い価格で購買せざるを得ない時に、同一の補償を受けるであろう限り、それらが高いか安いかは彼らにほとんど重要でないであろう。しからば、禁止法によって、しからざればそこに留まっていたはずのものよりもより[#「より」に傍点]多量の金及び銀を流通せしめておくことからして、一国に発生し得べき唯一の不利益は、その資本の一部分を生産的に使用せずして、不生産的に使用することによって、それが蒙るべき損失であろう。貨幣の形においてはこの資本は何らの利潤をも生産しない、それを費して得る原料品、機械、及び食物の形においては、それは収入を生産し、そして国家の富と資源とを附加するであろう。しからば私は、課税の結果たる貴金属類の比較的低価、または換言すれば、貨物の一般的高価は国家にとって何らの不利益でもないが、けだしその金属の一部分は輸出され、そのためにその価値は高められて、再び貨物の価格を下落せしめるであろうから、ということを、満足に説明したと思う。そして更に、もし金属が輸出されないならば、もし禁止法によってそれが国内に留められ得るならば、為替相場に対する影響が高き価格の影響を相殺するであろう、ということを。かくてもし必要品及び労賃に対する租税が、それに労働が投ぜられるすべての貨物の価格を騰貴せしめないならば、それはこの理由によっては否とされ得ない。そして更にそれはかかる結果を有つであろうという、アダム・スミスのなしている意見の根拠が十分であるとしても、それは決してその故をもって有害であることはないであろう。それは、他のいかなる種類の租税に対しても正当に主張し得べき理由以外の理由のためには、非難され得ないのである。
地主は地主としてはこの租税の負担から除外されるであろう。しかし彼らが園丁《えんてい》、僕婢《ぼくひ》、等を養うことによって、彼らの収入の支出上直接に労働を使用する限りにおいて、彼
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