ソ格を引上げしめると、すなわち租税に対する償いを彼に得せしめると、同一の理由が、毛織物製造業者を誘って毛織布の価格を引上げしめ、製靴業者、帽子製造業者、及び家具製造業者を誘って、靴、帽子、及び家具の価格を引上げしめるであろうからである。
もしも彼らがすべてその財貨の価格を、利潤と共に租税に対する償いを得るように、引き上げ得るならば、彼らはすべて相互の貨物の消費者であるから、この租税が決して支払われ得ないであろうことは明かである、なぜならば、もしすべての者が補償を受けているならば、何人が納税者なのであろうか?
しからば私は、労賃を騰貴せしめる結果を有つべき租税は、利潤の減少によって支払われ、従って労賃に対する租税は実際上利潤に対する租税であるということを、説明するに成功したと思う。
労働と資本との生産物の労賃及び利潤間の分割の原則は、私はそれを樹立せんと試みたのであるが、私には極めて確実に思われるから、直接の結果を除けば、資本の利潤が課税されても労働の労賃が課税されても、ほとんど大したことではないと私は思うのである。資本の利潤に対する課税によって、おそらく、労働の維持のための基金が増加する率は変動し、そして労賃は、高きに過ぎるために、その基金の状態に比例しなくなるであろう。労賃に対する課税によって、労働者に支払われる報酬もまた、低きに過ぎるために、その基金の状態に比例しなくなるであろう。一方の場合においては貨幣労賃の下落により、他方の場合においてはその騰貴によって、利潤と労賃との間の自然的平衡は恢復されるであろう。かくて労賃に対する租税は、地主の負担する所とならず、資本の利潤の負担する所となる。それは、『親方製造業者に、利潤と共にそれを彼れの財貨の価格に添加する権能を与えかつ添加せざるを得ざらしめる』ことはないが、それはけだし彼はその価格を増加し得ないであろうからである、従って、彼は全然かつ報償なしに自分でかかる租税を支払わなければならない(註)。
[#ここから2字下げ、折り返して3字下げ]
(註)セイ氏はこの問題に関する一般的意見を鵜呑みにしているように見える。穀物を論じて彼は曰く、『このことからして、その価格はすべての[#「すべての」に傍点]他の貨物の価格に影響を及ぼすということになる。農業者や製造業者やまたは商人は一定数の労働者を雇傭するが、この労働者はすべて、一定分量の穀物を消費しなければならぬ。もし穀物の価格が騰貴するならば、彼は、その生産物の価格をそれと等しい比例で引上げざるを得ない。』第一巻、二五五頁。
[#ここで字下げ終わり]
(八三)もし労賃に対する租税の結果が、私の述べた如きものであるならば、それは、スミス博士によってそれに与えられた非難に値しないことになる。彼はかかる租税について曰く、『これらの租税及びその他の同じ種類のある租税は労働の価格を騰貴せしめることによって、オランダの製造業の最大部分を破壊したと言われている。これに類似の租税はそれほど重くはないが、ミラノ公国や、ジェノア共和国や、モデナ公国やパルマ、プラチェンティア、及びグァスタルラの諸公国や、法王領にある。やや著名なフランスのある学者は、他の租税に代うるにすべての租税の中で最も破壊的なこの租税をもってして、彼れの国の財政を改革せんと提議した。キケロは曰く、「非常に不合理な事柄にして時にある哲学者によって主張されなかったものはない。」』(訳者註一)また他の場所において彼は曰く、『必要品に対する租税は労働の労賃を騰貴せしめることによって、必然的にすべてのの製造品の価格を騰貴せしめ、従ってその販売及び消費の範囲を減少する傾向がある。』(訳者註二)たとえ、かかる租税は製造貨物の価格を騰貴せしめるというスミス博士の原則が正しいとしても、この租税はかかる非難には値しないであろう。けだし、かかる結果は単に一時的であり得るに過ぎず、そして吾々を外国貿易において、何らの不利益にも陥れないであろうからである。もしある原因が若干の製造貨物の価格を騰貴せしめるならば、それはその輸出を妨げ、または阻止するであろう。しかしもし同一の原因が一般的にすべてに対して作用するならば、その結果は単に名目的に過ぎず、そしてその相対価値にも影響を及ぼさねば、また物々交換――外国貿易も内国商業もすべての商業は実際物々交換であるが――に対する刺戟を何ら減少しもしないであろう。
[#ここから2字下げ]
(訳者註一)キャナン版、第二巻、三五九――三六〇頁。
(訳者註二)同上、三五七頁。
[#ここで字下げ終わり]
私は既に、ある原因がすべての貨物の価格を騰貴せしめる時には、その結果は貨幣価値の下落とほとんど同様であることを、証明せんと努めた。もし貨幣が価値において下落するならば、すべての貨
前へ
次へ
全173ページ中92ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
リカードウ デイヴィッド の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング