ッ騰貴せしめられるであろう。もし帽子製造業者が彼れの帽子によって一、〇〇〇|磅《ポンド》ではなく一、一〇〇|磅《ポンド》を利得するとしても、彼は租税として政府に一〇〇|磅《ポンド》を支払い従って依然彼自身の消費のための財貨に対し支出すべき一、〇〇〇|磅《ポンド》を有つであろう。しかし毛織布、穀物、及びその他すべての貨物は同一の理由によって価格において騰貴せしめられるから、彼はその一、〇〇〇|磅《ポンド》に対し以前に九一〇|磅《ポンド》に対し取得した以上を取得しはせず、かくして彼はその支出を減少せしめて国家の緊急費に貢献するということになろう。彼は、租税の支払によって、国の土地と労働との生産物の一部分を彼自身では使用せずして、それを政府の処分に委ねることになるであろう。もし彼れの一、〇〇〇|磅《ポンド》を支出せずして、それを彼れの資本に附加するならば、彼は労賃の騰貴及び粗生原料品と機械との費用の増加に際し、彼れの一、〇〇〇|磅《ポンド》の貯蓄が以前の九一〇|磅《ポンド》の貯蓄額以上に及ばぬことを見出すであろう。
もし貨幣が課税されるならば、またはもしある他の原因によってその価値が変動し、そしてすべての貨物が以前と正確に同一の価値に留まるならば、製造業者と農業者との利潤もまた以前と同一であり、それは引続き一、〇〇〇|磅《ポンド》であろう。そして彼らは各々政府に対し一〇〇|磅《ポンド》を支払わなければならぬであろうから、彼らはわずかに九〇〇|磅《ポンド》を保持するに過ぎず、それは彼らがそれを生産的労働に支出しようとまたは不生産的労働に支出しようとに論なく、国の土地及び労働の生産物に対するより[#「より」に傍点]小なる支配権を彼らに与えるであろう。正確に彼らが失う所を政府は利得するであろう。第一の場合においては、納税者は一〇〇〇|磅《ポンド》に対し、彼が以前に九一〇|磅《ポンド》に対し得た所と同一の分量の財貨を得るであろう。第二の場合においては、彼は単に以前に九〇〇|磅《ポンド》に対し得たと同じ額を得るに過ぎないであろうが、それはけだし財貨の価格は依然として不変であり、そして彼は単に九〇〇|磅《ポンド》を支出し得るに過ぎないからである。このことは租税の額の相違から起るものである。第一の場合においてはそれは単に彼れの所得の十一分の一に過ぎない。第二の場合においてはそれは十分の一である。貨幣はこの二つの場合に異る価値を有っているのである。
(七五)しかし、たとえ貨幣が課税されず、そして価値において変動しなければ、すべての貨物は価格において騰貴するであろうとはいえ、それらは同一の比例においては騰貴しないであろう。それらは課税の後には、課税の前に有っていたと同一の相対価値を相互に有たないであろう。本書の前の部分において、吾々は、固定資本及び流動資本への、またはむしろ耐久的資本及び消耗的資本への資本の分割が、貨物の価格に対して及ぼす結果を論じた。吾々は二人の製造業者が正確に同一額の資本を用い、そしてそれから正確に同一額の利潤を得ても、しかも彼らはその貨物を、彼らが使用する資本が消費されかつ再生産される速度の遅速に従って、極めて異る貨幣額に対して売るであろうということを、説明した。その一方は彼れの財貨を四、〇〇〇|磅《ポンド》で売り、他方は、一〇、〇〇〇|磅《ポンド》で売り、そして彼らは共に一〇、〇〇〇|磅《ポンド》の資本を使用して二〇%の利潤すなわち二、〇〇〇|磅《ポンド》を得ることもあろう。一方の資本は例えば、再生産さるべき二、〇〇〇|磅《ポンド》の流動資本と、建物及び機械における八、〇〇〇|磅《ポンド》の固定資本とから成るであろう。他方の資本はこれに反し、八、〇〇〇|磅《ポンド》の流動資本と、建物及び機械におけるわずか二、〇〇〇|磅《ポンド》の固定資本とから成るであろう。さてもしこれらの人の各々が彼れの所得に対する一〇%すなわち二〇〇〇|磅《ポンド》を課税されるならば、一方はその事業をして一般利潤率を生ぜしめるために、彼れの財を一〇、〇〇〇|磅《ポンド》から一〇、二〇〇|磅《ポンド》に引き上げなければならない。他方もまた彼の財貨の価格を四、〇〇〇|磅《ポンド》から四二〇〇|磅《ポンド》に引き上げざるを得ないであろう。課税の前にはこれらの製造業者の一方によって売られた財貨は、他方の財貨よりも二倍半の価値を有っていた。課税の後にはそれは二・四二倍の価値を有つであろう。一方の種類は二%騰貴したであろう。他方は五%騰貴したのであろう。従って所得に課せられる租税は、貨幣が引続き価値において変動しない間は、貨物の相対価格及び価値を変動せしめるであろう。このことはまた、租税が利潤には課せられずに貨物そのものに課せられた場合にも、真実であろう。それらがそ
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