フ生産に用いられた資本の価値に比例して課税されるならば、その価値がどうであろうとも、それは平等に騰貴し、従って以前と同一の比例を保持しないであろう。一万|磅《ポンド》から一万一千|磅《ポンド》に騰貴した一貨物は、二、〇〇〇|磅《ポンド》から三、〇〇〇|磅《ポンド》に騰貴したもう一つの貨物に対して、以前と同一の関係を有たないであろう。もしかかる事情の下において、貨幣が、――いかなる原因から起ったものであろうと、――価値において騰貴するならば、それは同一の比例において貨物の価格に影響を及ぼすことはないであろう。一方の価格を一〇、二〇〇|磅《ポンド》から一〇、〇〇〇|磅《ポンド》に、すなわち二%弱下落せしめると同一の原因は、他方の価格を四、二〇〇|磅《ポンド》から四、〇〇〇|磅《ポンド》に、すなわち四%四分の三下落せしめるであろう。もし両者がこれを異るある比例で下落するならば、利潤は等しくないことになるであろう。けだし、それを等しくするためには、第一の貨物の価格が一〇、〇〇〇|磅《ポンド》の時には第二の貨物の価格は四、〇〇〇|磅《ポンド》でなければならず、そして第一のものの価格が一〇、二〇〇|磅《ポンド》の時には他のものの価格は四、二〇〇|磅《ポンド》でなければならない。
この事実の考察は、未だかつて言及されたことがないと私が信ずる一つの極めて重要な原則の理解に導くであろう。それはこうである、すなわち、何らの課税も存在しない国においては、稀少または豊富から生ずる貨幣価値の変動は、等しい比例において一切の貨物の価格に影響を及ぼすであろうし、もし一、〇〇〇|磅《ポンド》の価値を有する貨物が一、二〇〇|磅《ポンド》に騰貴しまたは八〇〇|磅《ポンド》に下落するならば、一〇、〇〇〇|磅《ポンド》の価値を有する貨物は一二、〇〇〇|磅《ポンド》に騰貴しまたは八、〇〇〇|磅《ポンド》に下落するであろうが、しかし価格が課税によって人為的に騰貴せしめられる国においては、流入による貨幣の豊富または外国の需要によるその輸出と、その結果たる稀少は、一切の貨物の価格に対し同一の比例において作用することはなく、それはあるものを五、六、または一二%騰貴または下落せしめ、他のものを三、四、または七%だけ騰貴または下落せしめるであろう、ということこれである。もし一国が課税されずそして貨幣が価値において下落するならば、あらゆる市場における貨幣の豊富は、その各々において同様の結果を生ずるであろう。もし肉が二〇%騰貴するならば、パン、麦酒《ビール》、靴、労働、及びあらゆる貨物もまた二〇%騰貴するであろう。各職業に同一の利潤率を確保するためにはそれらがそうなるべきことが必要である。しかしこれらの貨物のいずれかが課税されている時にはこのことはもはや真実ではない。もしその場合にはそれらがすべて貨幣価値の下落に比例して騰貴するならば、利潤は不平等になるであろう。課税貨物にあっては利潤は一般水準以上に高められ、そして資本は一職業から他の職業に移転されついに利潤の平衡が囘復されるに至るのであるが、このことは相対価格が変動した後にのみ起り得ることである。
この原則は、英蘭《イングランド》銀行兌換停止中における、貨幣価値の変動によって貨物の価格に対し生ぜしめられたといわれている種々なる結果を、説明するものではないであろうか? 紙幣流通が過剰であったために通貨がその期間減価された、と主張した人々に対しては、もしそれが事実であるならば、すべての貨物[#「貨物」は底本では「貨幣」]は同一の比例で騰貴すべきはずであった、という反対論がなされた。しかし多くの貨物は他のものよりも極めてより[#「より」に傍点]多く変動したことが見出され、そしてこのことからして、物価騰貴は貨物の価値に影響を及ぼす何ものかによるのであって、通貨の価値の変動によるのではないと、推論されたのである。しかしながら、吾々が今見た如くに、貨物が課税されている国においては、それは、通貨の価値の騰貴の結果であるにしても下落の結果であるにしても、必ずしもすべて同一の比例で価格が変動するものではないことが、分るのである。
(七六)もし農業者の利潤を除きすべての職業の利潤が課税されるならば、粗生生産物を除くすべての財貨は貨幣価値において騰貴するであろう。農業者は以前と同一の穀物所得を得、そして彼れの穀物をもまた同一の貨幣価格で売るであろう。しかし彼は、穀物を除き彼が消費するすべての貨物に対して附加的価格を支払わざるを得ないであろうから、それは彼にとり一つの消費税であろう。彼はまた貨幣価値の変動によってもこの租税から免れないであろう。けだし貨幣価値の変動は、あらゆる課税貨物をその以前の価格にまで下落せしめるであろうが、しかし課税されないもの
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