鼾において、彼自身の配慮や注意を要せずして享受する収入の一種である。たとえこの収入の一部分が、国家経費を支払うために、彼から取去られたとしても、いかなる種類の産業もそれによっては阻害されないであろう。社会の土地及び労働の年々の生産物は、人民の大多数の真実の富及び収入は、かかる租税が課せられた後においてもその以前も同一であろう。従って敷地地代及び通常の土地地代はおそらく、それらに対して特殊の租税が課せられてもそれを最も良く負担し得るという種類の収入である。』(訳者註)これらの租税の結果がアダム・スミスの述べた如きものであろうことは、認めなければならない。しかし、もっぱら社会のある特定階級の収入にのみ課税するというのは、確かに極めて不正であろう。国家の負荷はすべての者がその資力に応じて負担しなければならない。これは、すべての課税を支配すべきものとしてアダム・スミスが挙げている四つの公理の一つである。賃料はしばしば、多年の辛苦の後にその利得を実現しそしてその財産や土地や家屋の購買に支出した人々に、帰属する。そして財産に不平等に課税することは、確かに、財産の安固という常に神聖に保たるべき原理の一侵害となるであろう。土地財産の移転が負っている印紙税がおそらくそれを最も生産的ならしめるべき人々へのその移転を著しく害しているのは、悲しむべきことである。そして土地が、適当な単一課税物件と看做されて、啻に、その課税の危険を償うために価格において低下せしめられるのみならず、更にその危険の不確定的性質と不確実な価値とに比例して、真面目な事業というよりは、賭博の性質をより[#「より」に傍点]多く有つ所の投機の恰好な目的物となることを、考えるならば、その場合土地を最も所有しそうな人は、おそらく、その土地を最も有利になるように使用する如き真面目な所有者の性質よりも、賭博者の性質をより[#「より」に傍点]多く有つ人であろう。
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(訳者註)同上、三二八頁。
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    第十五章 利潤に対する租税

(七四)一般に奢侈品と名づけられている貨物に対する租税は、それを使用する者のみの負担する所となる。葡萄酒に対する租税は葡萄酒の消費者によって支払われる。娯楽用|馬匹《ばひつ》または馬車に対する租税は、かかる享楽物を備えている者により、かつ彼らがそれらを備えている程度に正確に比例して、支払われる。しかし必要品に対する租税は必要品の消費者達に対し、彼らによって消費される分量に比例して影響するものではなく、しばしば遥かにより[#「より」に傍点]高い比例において影響する。穀物に対する租税は、既に述べた如くに、製造業者に対し、啻に彼及びその家族が穀物を消費するに比例して影響するのみならず、更にそれは資本の利潤率をも変更せしめ、従って彼れの所得にも影響する。労働の労賃を騰貴せしめるものは何でも資本の利潤を下落せしめ、従って、労働者によって消費されるいかなる貨物に対する租税も、すべて利潤率を下落せしめる傾向を持つものである。
 帽子に対する租税は帽子の価格を騰貴せしめるであろう。靴に対する租税は靴の価格を騰貴せしめるであろう。もしそうでなければ租税は結局製造業者によって支払われるであろう。彼れの利潤は一般水準以下に下落しそして彼はその職業を中止するであろう。利潤に対する部分的租税は、それを負担する貨物の価格を騰貴せしめるであろう。例えば帽子製造業者の利潤に対する租税は帽子の価格を騰貴せしめるであろう。けだしもし彼れの利潤が課税され、そしていかなる他の職業のそれも課税されないならば、彼れの利潤は、彼がその帽子の価格を引上げない限り、一般利潤率以下となり、そして彼はその職業を中止して他の職業に赴くであろうからである。
 同様にして農業者の利潤に対する租税は穀価を騰貴せしめるであろう。毛織物製造業者の利潤に対する租税は毛織布の価格を騰貴せしめるであろう。そして利潤に比例しての租税がすべての職業に賦課せられるならばあらゆる貨物は価格において騰貴せしめられるであろう。しかしもし吾々に我国の貨幣の本位を供給する鉱山が我国にあり、そして鉱山業者の利潤もまた課税されるならば、いかなる貨物の価格も騰貴せず、各人はその所得の等しい割合を与え、そして万事は以前の通りであろう。
 もし貨幣が課税されず、従ってその価値を保持することが許されるが、しかるに他のあらゆる物は課税され、そして価値において騰貴せしめられるならば、各々同一の資本を使用しかつ同一の利潤を得ている帽子製造業者、農業者、及び毛織物製造業者は同一額の租税を支払うであろう。もし租税が一〇〇|磅《ポンド》であるならば、帽子、毛織布、及び穀物は各々価値において一〇〇|磅《ポンド》だ
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