オすべての他の必要品はほとんど限り無く増加され得ようから――という理論を、無効ならしめるものではない。
 価格は常に、市場において変化し、そして第一に、需要と供給との比較的状態によって変動することを、想起せらるべきである。たとえ毛織布が一ヤアルにつき四〇シリングで供給され、かつ資本の日常利潤を与えることが出来るとしても、流行の一般的変化によりまたは突然に予想外にその需要を増加しまたはその供給を減少するある他の原因によって、それは六〇シリングまたは八〇シリングに騰貴するであろう。毛織布の製造者は一時の間異常の利潤を得るであろうが、しかし、資本は当然にその製造業に流入し、ついに供給と需要とは再びその正当な水準にあるようになり、その時には毛織布の価格は再びその自然価格または必要価格たる四〇シリングに下落するであろう。同様にして、穀物に対する需要の増加するごとに、それは農業者に一般利潤よりより[#「より」に傍点]以上を与えるほどに騰貴するであろう。もし豊富な沃土があるならば、必要な資本量がその生産に用いられた後は、穀物の価格は再びその以前の標準に下落し、そして利潤は依然の如くなるであろうが、しかしもし、豊富な沃土がなく、もしこの附加的分量を生産するに普通の分量以上の資本と労働とが必要とされるならば、穀物はその以前の水準にまで下落しないであろう。その自然価値は騰貴するであろう。そして農業者は、永続的により[#「より」に傍点]大なる利潤を取得することなく、必要品の騰貴により齎される労賃の騰貴の不可避的結果たる、減少せる率に満足するの余儀なき立場に立つであろう。
(四四)しからば、利潤の自然的傾向は下落することである。けだし、社会及び富の進歩につれて、必要とされる食物の附加的分量はますますより[#「より」に傍点]多くの労働の犠牲によって得られるからである。利潤のこの傾向、すなわちいわばこの重力は、幸にして、しばしば、必要品の生産と関連せる機械の改良により、並びに吾々をして以前に必要とされた労働の一部分を不要にし得しめ、従って労働者の第一次的必要品の価格を引下げ得せしめる農学上の発見によって、妨げられている。しかしながら、必要品の価格と労働の労賃との騰貴は限られている。けだし労賃が(前に述べた場合における如く)農業者の全受取額たる七二〇|磅《ポンド》に等しくなるや否や、蓄積は終らね
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