驍謔、にとのことであった.ホテルでは國際學術會議(International Council of Scientific Unions)に出席するために來ておる Stratton,Fraser とも會い,久しぶりに古い思い出話をする.Stratton 博士は昭和11年北海道の日蝕におけるイギリスの觀測班長として來た人で,國際學術會議の事務總長をもう12年間もやっておる.Fraser 博士は1927年にハンブルグで Rabi などと一緒に識り合いになった舊友である.今ユネスコと國際的の學術團體との連絡係をしておるのであるが,最近まで戰後の西ドイツの科學界の管理をしていた人である.彼の話によると,ドイツの科學は若い世代に有能な人がいないので,大きな空白を生じ,再び往時の隆盛を回復することは難しいのではないかと嘆いていた.Auger,Wang など,ユネスコの科學部の人達も同じホテルにいて話をする機會を得た.
その晩 Bohr さんの2人の令息(Erik と Ernest)が車で迎いに来てくれて,Bohr さんの宅にゆき,まる12年ぶりで會った.御夫妻とも大して變っておられない.先ず話が出
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