伊藤崇拝の隷属を作る※[#白ゴマ、1−3−29]夫れ功業を尚ぶものは唯だ自家の経綸抱負を布かんことを望む※[#白ゴマ、1−3−29]故に大隈伯は必ずしも英雄を畏れず、必ずしも歴史上の人物に感服せず※[#白ゴマ、1−3−29]其の古今を呑吐し、天下を小とするの概あるは蓋し之れが為めなり。
個人としての伊藤侯と大隈伯とは夫れ斯の如し※[#白ゴマ、1−3−29]約して之れをいへば、伊藤侯は太平時代の英雄にして、大隈伯は乱世時代の巨人なり※[#白ゴマ、1−3−29]大隈伯の隆準豺目にして唇端の緊合せる、自然に難を排し紛を釈くの胆智あるを示し、伊藤侯の象眼豊面にして垂髯の鬆疎たる、自然に無事を喜び恬※[#「(冫+臣+犯のつくり)/れんが」、第3水準1−87−58]を好むの風度あるを見る※[#白ゴマ、1−3−29]又以て此の二大政治家の個性を諒す可し。(廿九年七月)
伊藤侯の現在未来
藩閥控制
嚮に伊藤侯が、自ら骸骨を乞ふて大隈板垣両伯を奏薦し、以て内閣開放の英断を行ふや、藩閥家は侯を目して不忠不義の臣と為し、極力其挙動を詬罵するに反して、侯の政敵は寧ろ侯の英断を賞揚
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