て紀律を明にし其の秩序を整へ、専ら奉公の誠を以て事に従はざる可からずと。是れ既成政党の無紀律不秩序を咎め、此れより生じたる党弊を革むるを趣旨としたるに在り。余は伊藤侯が主として此の趣意を実行せむことを望まざるを得ず。
 綱領や約九個条にして、宣言の註脚といふ可く、其の外交に関しては、文明の政以て遠人を倚安せしめ法治国の名実を全からしめむことを努む可しといひ、其国防に関しては常に国力の発達と相伴行して、国権国利を充全ならしめむことを望むといひ、其の学政に関しては国民の品性を陶冶し、公私各々国家に対する負担を分つに耐ゆるの懿徳良能を発達せしめ、以て国礎を牢くせむことを希ふといひ、其の実業に関しては、農商百工を奨め、航海貿易を盛にし、交通の利便を増し、国家をして経済上生存の基礎を鞏からしめむことを欲すといふの事項稍々政綱らしきを見るのみ。而も是れ何人も異存なかる可き名辞《ステートメント》の排列にして、一党の政綱としては、余りに漠然にして殆ど要領を認むるに難し。されど余の政友会に期する所は、国家経綸の施設よりも、寧ろ党弊刷新に在り。是れ伊藤侯の政友会を発起したる主要の目的亦此に存すればなり。但
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