だ最も党弊に浸潤せる旧自由党を最大要素とせる政友会を率いて、果して能く党弊刷新の目的を達し得可しとする乎。是れ甚だ余の疑ふ所なり。現に侯が田口卯吉氏に請ふに政友会に入らむことを以てするや、彼は侯に向て極度に腐敗せる旧自由党を主力としたる政友会の、到底党弊刷新を期し得可き謂れなきを論じて入会を謝絶したり。島田三郎氏の如きも亦彼れと同一なる観察に依りて政友会と接近するを避けたり。清流の士の政友会に赴かざる所以は実に此れが為めなり。

      (三)創立の参謀
 政友会の創立に与かれる参謀としては、先づ旧自由党総務委員を以て重もなる人物と為さざる可からず。されど伊藤侯の計画は、勉めて各種の人物と各階級の代表者を網羅するに在り故に投票権の多少よりいへば、旧自由党最も多数の創立委員を出だす可き筈なれども、十二人の創立委員中旧自由党より挙げたるものは僅に四名の総務委員にして、其の余は総べて旧自由党以外の人物を指名したりき。
 此等の創立委員中最も新らしき印象を世人に与へたる人物は、男爵本多政以氏と為す。彼れは前田家の旧大老にして、維新前は五万石を領したる加賀の名族なり。其の公人生涯に入りしは、
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