非ず※[#白ゴマ、1−3−29]されど単純なる誠実も亦た能く衆心を収攬する所以に非ず※[#白ゴマ、1−3−29]唯だ誠実の士にして智慧を用いるもの、始めて能く誠実をして好方便たらしむるを得るのみ、田中正造氏の如き稍々之れを得たり。
彼は熱血男児なり※[#白ゴマ、1−3−29]されど彼は决して直情径行の純人に非ず※[#白ゴマ、1−3−29]彼は粗放なる如くにして、其実精細の算勘に富み、直角的なる如くにして、反つて曲線的の行路を歩む※[#白ゴマ、1−3−29]唯だ悪を知りて悪を行はず、利害に明かにして利害に拘束せられざる、乃ち是れ彼れの彼れたる所以なり。
試に見よ、鉱毒問題は古河市兵衛氏と地方一部の農民との間に起れる一小事件のみ※[#白ゴマ、1−3−29]决して之れを天下の大問題と謂ふ可からず※[#白ゴマ、1−3−29]而も田中氏が一たび此問題を持把して下院に現はるゝや、其声頗る大にして、終に下院を動かし、政府を動かし復た之れを一小事件と認むる能はざるに至らしめたり※[#白ゴマ、1−3−29]彼は此問題に於て老獪縦横なる後藤伯と争へり※[#白ゴマ、1−3−29]才弁多智なる陸奥伯と争へ
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