攻撃したるのみ。
 鉱毒事件は、彼れの専売問題にして、彼れは此問題の為めにモツブの巨魁なり、愚民のデマゴーグなりと称せらるゝをも厭はざるなり※[#白ゴマ、1−3−29]何となれば彼は此問題を以て人情正義の問題と為すものなればなり。
 余は此問題に関して、全然彼れの主張に同意するものに非ず※[#白ゴマ、1−3−29]されど余は彼れの良心に同感せざるなき能はず※[#白ゴマ、1−3−29]其主張の誇大にして、且つ論理の極端なる、殆ど無経綸に近かきものありと雖も、其所信を固守して一点調和の意義を含まざるは、决して利害に制せらるゝ政治家の夢想し得る所に非ず※[#白ゴマ、1−3−29]是れ彼れに良心の健全なるものあればなり。

      誠実なる方便家
 誠実是れ好方便なりとは、屡々余の聴く所の語なれども、之を実行するものは甚だ稀なり※[#白ゴマ、1−3−29]世間誠実の君子少なきに非ず※[#白ゴマ、1−3−29]されど単純なる誠実は好方便と為らず※[#白ゴマ、1−3−29]何となれば是れ無意義の誠実なればなり※[#白ゴマ、1−3−29]蓋し古へより能く人心を収攬するものは、决して術数権謀の士に
前へ 次へ
全350ページ中342ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
鳥谷部 春汀 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング