に属するを以て輔弼の責を忽にせず、表を捧げて罪を闕下に待ち、又先年自由進歩両党の合同するや自ら之を後任に奏薦して、引退したる実例あり。今又其の趣旨に於て、輿論を指導して国政の進行に貢献せん、或は帝国憲政の将来に裨補せんと言明せり。一たび此等の諸点を輳合せば立憲政友会の趣旨は、憲政の完成を期し、閣臣の責任を明にしたるものなること釈然たらんと。夫れ議会と調和伴行の道を講じたるは独り伊藤侯のみに非ず、他の藩閥元老亦皆之れを講じたり。其の多数の反対に遇ふて国務を挙ぐる能はざるに至て終に表を捧げて罪を闕下に待つの挙に出でたるものは、他の藩閥元老も亦皆然らざるなし。唯だ伊藤侯の如く再囘議会を解散して尚ほ内閣を固守したるものなかりしのみ、問題は此に在らずして、伊藤侯は果して衆議院の多数少数を以て内閣進退の条件と為すを趣旨とするや否やに在り。而して伊藤侯は此の点に於て何の言ふ所なく、自由党総務委員の陳弁亦此の意義を明解する能はず。
 其の政党と国家との関係を説ては曰く、凡そ政党の国家に対するや、其の全力を挙げ、一意公に奉ずるを以て任とせざる可からず。凡そ行政を刷新して以て国運の隆興に伴はしめむとせば、
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