ふに是れ自由党の党勢を拡張するに於て多少の成功を博するに足るの一手段たりしは疑ふ可からずと雖も、自由、改進両党をして呉越相容れざるの関係と為らしめたるは、蓋し亦茲に淵源する所ありき。
 既にして井上条約案出づるや、両党偶然其歩武を同うして之に反対し、一日両党の聯合懇親会あり※[#白ゴマ、1−3−29]其交情大に融和せむとするに際し、何等の不作法ぞ、彼れは卒然沼間守一を打撲して、大に改進党を激昂せしむるものあらむとは。
 国会既に開くるに及で、自由、改進の両党相聯合して藩閥政府と戦ひ、称して民党と謂ふ※[#白ゴマ、1−3−29]彼れの代議士と為るや、亦民党と其向背を同うし、民党の推挽に依て衆議院議長の椅子を得たりき※[#白ゴマ、1−3−29]然るに彼れは倏忽手を翻へして復た改進党を攻撃し、以て民党を破壊するの挙を行ひたりしは何ぞや※[#白ゴマ、1−3−29]当時世間伝へて曰く、星亨の民党破壊演説は、彼れが窃に陸奥宗光と約して、自由党を政府党たらしめむとするの隠謀より出でたりと※[#白ゴマ、1−3−29]されど自由党は彼れの専有物に非ざりしを以て、彼れが言動に慊焉たるものは、皆相率いて自由
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