29]故に其の門下生に富むも亦実に当代に冠たり※[#白ゴマ、1−3−29]然れども伊藤侯の愛好するものは、柔順御し易きの徒に非むば巧慧※[#「にんべん+鐶のつくり」、3−下−27]薄の輩多し※[#白ゴマ、1−3−29]大隈伯は然らず、伯は唯だ人を智に取りて其の清濁を論ぜず※[#白ゴマ、1−3−29]故に愚者を近けざるの外一芸一能あるものは勉めて之れを容れんとす※[#白ゴマ、1−3−29]量に於ては大隈伯確かに伊藤侯の上に出るを見る※[#白ゴマ、1−3−29]蓋し伊藤侯は勉めて他の信服を求むと雖も、未だ意気を以て人を感ぜしめたるを聞かず※[#白ゴマ、1−3−29]天下知己の恩あり、一たび之れに浴するものは為に死を致さむことを思ふ※[#白ゴマ、1−3−29]然れども知己の恩は私恩に同じからず※[#白ゴマ、1−3−29]私恩を介するものは概ね利害にして、知己の恩は則ち意気を通じて来る※[#白ゴマ、1−3−29]或はいふ侯は私恩を売るに巧みなりと※[#白ゴマ、1−3−29]夫れ私恩は以て面従を得可く、以て信服を求む可からず※[#白ゴマ、1−3−29]而も面従一変すれば主を噬むの狗となり、獅子身
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