中の虫となる※[#白ゴマ、1−3−29]唯だ侯の聡明能く此の憂を免かるるのみ※[#白ゴマ、1−3−29]顧みて大隈伯を見るに、伯は必ずしも信服を人に求めずと雖も、其の自ら来て信服するものは、亦善く之を用ひ善く之れを導く※[#白ゴマ、1−3−29]是れ其伊藤侯と大に異同ある所以なり。
 大隈伯の特質として最も著明なるは、精神常に活動して老て益々壮んなるに在り※[#白ゴマ、1−3−29]伯曾て人に語て曰く、隠居制度は亡国の条件なりと※[#白ゴマ、1−3−29]其の春秋漸く高くして壮心次第に加はる如き、其の向上精進毫も保守の念なき如き、其の冀望抱負常に新たなるが如き、伯は実に天性進歩主義の人物なり※[#白ゴマ、1−3−29]伯の進歩主義は独り政治上の智識より出でたるに非ずして、即ち伯の生命なり、伯の理想なり※[#白ゴマ、1−3−29]之れを伊藤侯の動もすれば林下退隠の状を為すに比す、則ち本領の甚だ差別あるを知るに足る※[#白ゴマ、1−3−29]伯又口を開けば常に自由競争を語る※[#白ゴマ、1−3−29]自由競争は乃ち伯の人生観たる莫らんや※[#白ゴマ、1−3−29]人生既に自由競争の運命あり
前へ 次へ
全350ページ中5ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
鳥谷部 春汀 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング