に伊藤攻撃を事としたるの時は、彼れは未だ大隈伯に一面識すらなきの日なりき※[#白ゴマ、1−3−29]彼れは主義の為めに伊藤侯と争ひたるも、曾て党派的感情の為めに其去就を定めたることはあらじ。
華族社会の好一対
近衛公と西園寺侯とは華族社会の好一対なり、近衛公は現に貴族院議長たり、西園寺侯も亦曾て貴族院に副議長たりき※[#白ゴマ、1−3−29]西園寺侯は現に伊藤内閣の文部大臣たり、近衛公も亦曾て松方内閣より文部大臣を擬せられたりき※[#白ゴマ、1−3−29]近衛公は久しき以前より機関雑誌を発行して、今も尚ほ現に之れを所有せり、西園寺侯も亦前年曾て一新聞を発行して自ら之れが記者たることありき※[#白ゴマ、1−3−29]其位地境遇何ぞ太だ相似たるや。
特に近衛公の独逸学に於ける、西園寺侯の仏蘭西学に於ける、其素養以て相敵するに足り、近衛公の国家主義に於ける、西園寺侯の世界主義に於ける、其思想以て相争ふに足る※[#白ゴマ、1−3−29]而して其名望よりいへば、西園寺侯遠く近衛公に及ばざるは独り何ぞや※[#白ゴマ、1−3−29]嗚呼是れ才の優劣に非ずして、又徳の高下に由るに非ず
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