たりき、之を要するに自由党は、一方に於ては星氏に惑乱せられ、一方に於ては伊東男に惑乱せられて当初の主義政見を忘れ其の清醇なる分子すらも、往々薄志弱行にして一時の利害に迷ひ、敢て自ら進で自由党の根本的刷新を加ふるの勇気なし、是れ我輩の所謂る真の局面展開未だ行はれざる所以なり。
※[#始め二重括弧、1−2−54]二十八※[#終わり二重括弧、1−2−55]
山県相公閣下、看来れば閣下の前途も暗黒なる如く、自由党の前途も暗黒なる如く、随て政界総体の前途も殆ど混沌として判別す可からざる如しと雖も、国民多数の冀望は自然に帰着する所ありて、我輩の所謂る真の局面展開を見るの時機決して遠きに非ざる可きは、我輩の固く信じて疑はざる所なり、而して是れ啻に大勢に於て然るのみならず、又国家の必要なりと謂はざる可からず、試に閣下の為に先づ其の必要ある所以を説かむか。
相公閣下、今の時に於て国家に最も必要なるは漫に租税を増徴して国民の負担を加重するに非ず、若くは漫に軍備を拡張して外国と事端を啓くにも非ず、世間動もすれば積極主義を唱へて好で大言壮語する者ありと雖も、是れ実は政治上に於て全く無稽無意義
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