持せむとするの謬見より出でたるものに非ずして何ぞや、要するに閣下は現在に於て真の政府党を有せざるのみならず、其の政府党らしきものすらも、日に閣下の内閣と相離れて反つて閣下の死命を制するの政敵たらむとするが如きは、亦豈閣下の宜しく警戒す可き一大危機に非ずと謂はんや。

      ※[#始め二重括弧、1−2−54]十九※[#終わり二重括弧、1−2−55]
 山県相公閣下、閣下は或は帝国党を以て内閣の忠僕なりと信ぜむ、然り其の歴史よりいふも、其の関係よりいふも、帝国党は確かに内閣の忠僕たる可き傾向を有するものなり、さりながら僅々二十余名の代議士を有する眇たる一小党は、閣下が果して頼つて以て有力なる忠僕とするに足る可き乎、況むや帝国党は政治的投機師を以て組織したる烏合の政団にして、殆ど政党と名く可き実質を具へざるに於てをや、先づ試に其の領袖たる者の如何なる人物なるかを見よ、佐々友房氏は自ら大策士を以て任ずるに拘らず、識慮頗る暗昧にして確然たる定見なき人なり、曾て独逸に遊ぶや、其の国の各政党が大抵宗教問題を政綱に掲ぐるを見て以為らく是れ我国の宜しく学ぶ可き模範なりと、帰来直に帝国党の政綱に宗教
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