り立憲国の内閣に必要なるを疑はずと雖も、閣下の内閣は唯だ一時の利害に依りて政府を弁護する聯合党を有するに過ぎずして、主義政見に依りて統一せる一大政府党を有せざるを奈何せむや、人あり閣下に向て閣下は真の政府党を有するやと問はゞ、閣下は必らず然りと答ふるの勇気なかる可し、是れ事実に於て真の政府党なきのみならず、閣下は曾て公然真の政府党を作りたることなければなり、則ち我輩は唯だ閣下が議院政略を乱用して政党を操縦したるを見る、未だ閣下が主義政見に依りて進退を倶にす可き真の政府党に援助せらるゝを見ず。
相公閣下、我輩の聞く所に依れば、伊藤侯は改正選挙法通過の後、窃に閣下に向て政府党組織の計画目下に必要なるを説き、暗に此の大任を伊藤侯に委するの内勅を得るの手段を尽さむことを求めたるに、閣下之を肯んぜずして曰く、君にして苟も政党を組織せむとせば則ち君自ら之れを為して可なり、内閣は断じて其の議を賛するを得ずと、此に於て乎伊藤侯は閣下の与に為すあるに足らざるを怒りて、爾来閣下と益々情意の疏通を欠くに至れりと、是れ閣下が伊藤侯の野心測られざるを恐れたるにも由る可しと雖も、一は閣下が強て超然内閣の外観を維
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