事項を加ふるの必要を唱へたる如き愚論家なり、而して、此の愚論家にして且つ自称大策士たる彼れは、唯だ毎日根気よく書簡を手記して、己惚れと迂濶とを扱き雑ぜたる報告を選挙区民に為すの外には、巧みに元勲政治家の間を周旋し、区々の縦横説を進むるを以て独り自ら得意とするのみ、元田肇斎藤修一郎の両氏は、彼れに比すれば智見も思想も数等進歩したる人物なれども、一は小胆にして大事を担当するの器なく、一は不謹慎にして公人としての信用欠げたり、斯くの如き人物に依て指導せらるゝ帝国党は復政治上に於て何事を為し得可しとする乎。
相公閣下、閣下の閣僚たる清浦曾禰の両氏は、曩きに帝国党の組織に後援を与へ、今も現に其の黒幕として頗る尽力すといふと雖も是れ恐らくは閣下の利益に非らずして寧ろ閣下に禍ひせむ、何となれば是れ徒らに伊藤侯及び自由党の反感を買ふに過ぎざればなり、昨年国民協会の解散するや大岡育造氏は伊藤侯を擁して新政党を組織せむとしたるも、其の計画は佐々元田等の反対に沮まれて行はれざりしのみならず、閣下は清浦曾禰等の閣僚に誤られて帝国党の成立を助け、地方議員選挙の際の如きは、窃かに地方官に向つて、帝国党の候補者に
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