十四議会に至ては、唯だ愈々出でて愈々奇なりといはむのみ、試に思へ衆議院の或る一派は、閣下の提出したる未曾有の大予算に協賛する代償として、運動費セシメの魂胆より生じたる幾多の建議案を提出し、恰も国庫の空巣覗ひを働くが如きの状あるも、閣下の内閣は一も二もなく之れを迎合したるに非ずや、又宗教法案は閣下の内閣に於ける最大最重の提案にして、欧洲の立憲国に在ては実に内閣の進退に関する大問題なり、而も閣下は此の法案の貴族院に否決せらるゝを見て痛痒の表感なかりしのみならず、曾て之れが通過を計る為に熱心の尽力なく、初めより議会の為すがまゝに盲従するの態度を示したるは何ぞや、相公閣下、議会は唯だ金銭若くは其他の利益を条件として閣下に盲従し、閣下は唯だ内閣の存立を目的として往々定見なき行動に出づること斯くの如し、我輩は閣下の名誉の為めに、閣下が内閣首相たる責任の為に断々然として此の失体を問はざる可からず、况んや閣下の失体は尚ほこゝに止らざるに於てをや。
※[#始め二重括弧、1−2−54]九※[#終わり二重括弧、1−2−55]
山県相公閣下、顧ふに閣下の議院政略は、単に政治道徳上の一問題として
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