而も事実をいへば閣下の議会に盲従したるもの亦少しとせず、試に閣下の為めに一二の実例を開示せむ。
曩きに閣下が第十三議会に臨むや、財政計画の唯一基礎として地租率を百分の四に増加するの法案を衆議院に提出したりと、其意地租以外の財源を以て到底財政計画の基礎を鞏固ならしむるに足らずと為し、即ち他の零細なる歳入に求めずして、専ら地租増徴に依頼せむとするに在りき、然るに閣下の提携を約したる自由党が多く之れに反対するに及で、遂に最初の提案を一変して、五箇年期を条件とせる三分三厘説に折合ひ、以て僅に議会を通過するを得たり、之れを表面より見れば、単に四分案に対して七厘の減率を為したるに過ぎずと雖も、実は財政計画を根本より変更して議会の要求に盲従したるに外ならず、何となれば一定の年期を条件とせる課税法は、既に鞏固なる財政計画の目的と両立せざるのみならず、現に此の減率の結果として、別に歳入の補填を他の三税に求めたる如きは、明白に最初の計画を破壊したるものなればなり即ち定見ある政治家に在ては、斯くの如きは実に不面目の甚だしきものたるに拘らず閣下の内閣が淡然として毫も之れを恥とせざりしは何ぞや。
若し夫れ第
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