督せる内閣の下に於いて、頗る壊敗したるが為に、之れを制定したる閣下の名誉に大なる損害を与へたるに非ずや、蓋し自治制度の壊敗は、一は之れを運用する地方自治体の腐敗にも由れど、之れが監督者たる行政官庁の職責を竭さゞるもの亦其の一大原因たり、而して閣下は啻に行政官庁の曠職を匡救する手段を取らざりしのみならず、又明かに其の手段にも乏しきの失体を現はしたり、此点に付ては、我輩更に後文に於て其事実を挙示す可しと雖も、要するに政治上の位地は、決して閣下の久しく居る可き所に非ず、閣下何ぞ早く之れを自覚して、将に来らむとする運命の危機より脱せざるや。

      ※[#始め二重括弧、1−2−54]四※[#終わり二重括弧、1−2−55]
 山県相公閣下、閣下頃ろ某貴族院議員に対して、余は政治上如何なる困難に遭遇するも、決して自ら骸骨を乞ふが如きの挙には出でず、既に第十四議会も幸ひに無事の通過を得たれば、余は来る第十五期及第十六期の議会までも此の内閣を持続して、百般の政務に改善を加ふる心算なりと語れるを伝ふるものあり、是れ之れを伝ふるものゝ妄に非ずむば、恐らくは閣下の心事を誤解するものゝ臆測ならむ。
 事
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