ならず、其主義未だ明白ならざるに於て、一朝変を生ずれば、更に如何なる現象を生出せざるも保す可からず※[#白ゴマ、1−3−29]否其分裂の機は漸く※[#「にんべん+福のつくり」、第4水準2−1−70]促し来れり※[#白ゴマ、1−3−29]憲政党一たび分裂すれば、旧自由党が再び侯を擁するの必要あるに至るは自然の情勢にして、侯は唯だ其機会の到来するまで孤立の位置に在るのみ。
 凡そ今日の所謂る政党なるものは、主義政綱に依りて進退するに在らずして、唯だ利害に依て分合するものたるに過ぎず※[#白ゴマ、1−3−29]伊藤侯が位地の未定数なるは、蓋し政党の主義政綱未だ分別せざるが為めなり※[#白ゴマ、1−3−29]顧ふに政治家の世に立つや、先づ自ら其主義政綱を発表して、同志を天下に求むる固より可なりと雖も、今日の如く未だ主義政綱を以て争ふの進境に達せざるの政界に在て、自ら主義政綱を発表して同志を天下に求むるは、恐らくは侯の迂濶とする所なる可し※[#白ゴマ、1−3−29]况むや侯は大隈板垣伯等の如く、政党上の歴史を有せざるが故に、今日直に政党を組織せむとする如きは、到底言ふ可くして行ふ可からざるの談な
前へ 次へ
全350ページ中17ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
鳥谷部 春汀 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング