故に其信任する所の人物も、亦大抵藩閥に敵視せらるゝものか、若くば藩閥以外の出身者ならざるなく、例へば、故陸奥伯の如き伊東末松両男の如き、渡辺子金子氏の如き、以て見る可し※[#白ゴマ、1−3−29]果して然らば、今囘の大英断が亦藩閥打破の目的より出でたると謂ふも豈余が一個の臆断ならんや。
未定数
伊藤侯は既に藩閥を打破して旧勢力と全く分離せり※[#白ゴマ、1−3−29]知らず侯の未来は如何※[#白ゴマ、1−3−29]一見せば侯の現在の位地は、孤立の二字を以て、善く之れを説明するを得可し※[#白ゴマ、1−3−29]侯は旧勢力と分離して、未だ新勢力を発見せず※[#白ゴマ、1−3−29]曾て侯と提携したる自由党は、今や憲政党の名の下に抱合せられて、侯と反対の方面に立ち、而して侯に依て政党を組織せむとするものは、唯だ憲政党の勢力に辟易して殆ど為す所を知らず※[#白ゴマ、1−3−29]侯の現在の位地は実に孤立なりと謂ふ可し※[#白ゴマ、1−3−29]されど余を以て之れを観るに、侯の位地は未定数にして必らずしも孤立ならず※[#白ゴマ、1−3−29]憲政党は大なりと雖も、其組織未だ堅確
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