なり※[#白ゴマ、1−3−29]初め憲政党の成立するや、侯は三策を建てゝ藩閥の元老に謀る※[#白ゴマ、1−3−29]上策に曰く内閣を維持すると共に、別に政府党を作りて憲政党に当らむ※[#白ゴマ、1−3−29]中策に曰く若し上策を非なりとせば、侯は自ら野に下りて政府党を作り、以て内閣を援けむと※[#白ゴマ、1−3−29]下策に曰く、二策共に非なりとせば、断然内閣を挙げて大隈板垣の両伯に与へむと※[#白ゴマ、1−3−29]而して上中二策は終に行はれずして事※[#白ゴマ、1−3−29]下策に決す※[#白ゴマ、1−3−29]是れ寧ろ侯の予期する所にして、又侯の目的なり※[#白ゴマ、1−3−29]蓋し政党は一夜作りの産物に非るは、侯の明固より之れを知るのみならず、侯は元来政党の歴史を有する政治家に非るに於て、自ら新政党を作りて大隈板垣の為す所を学ぶは、恐らくは侯の本意に非ず※[#白ゴマ、1−3−29]侯は勢力を自製するの人に非ずして、之れを発見し、之れを利用するの智略ある人なればなり※[#白ゴマ、1−3−29]故に侯が内閣開放を断行したるは、是れ実に今日を以て旧勢力と分離するの好機会なりと信じた
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