て國務の進行を阻碍するを見るに忍びず自ら兩者の間に立ちて妥協を謀らむとしたりき[#「公は無益の紛爭によりて國務の進行を阻碍するを見るに忍びず自ら兩者の間に立ちて妥協を謀らむとしたりき」に傍点]。其の盡力は成功せざりしと雖も[#「其の盡力は成功せざりしと雖も」に傍点]、世人は深く公の苦心を諒としたりき[#「世人は深く公の苦心を諒としたりき」に傍点]。
 余の見たる近衞公は、日本貴族の最高貴なる血液を遺傳したると共に[#「日本貴族の最高貴なる血液を遺傳したると共に」に二重丸傍点]、又た其の最純良なる性質をも禀受したりき[#「又た其の最純良なる性質をも禀受したりき」に二重丸傍点]。其の名利の範疇を超脱して、一意唯だ君國に報効せむことを圖りたるは之れが爲なり。然れども公は黨派政治家として成功するの人に非ざりしが如し[#「然れども公は黨派政治家として成功するの人に非ざりしが如し」に白丸傍点]。何となれば山野の習氣を帶びたる黨人を指導するよりも[#「何となれば山野の習氣を帶びたる黨人を指導するよりも」に白丸傍点]、君側に侍して献替補弼するの[#「君側に侍して献替補弼するの」に白丸傍点]、寧ろ公の人
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