せざるを得ざりき」に白丸傍点]。
松隈内閣は果して公の豫想に違はず、所謂薩派と進歩派との紛爭日に絶えずして、忽ち瓦解するに至れり。政界は再び伊藤内閣を復活したりき。而も其の内閣は舊に仍りて超然主義を唱へたりしがゆゑに、自由黨は反旗を飜へして内閣攻撃の位地に立ち、尋で進歩黨と合同して憲政黨と爲るや、伊藤侯は大隈板垣二老を奏薦して新内閣を組織せしめ、茲に始めて政黨内閣の組織を見るを得たりき。而も此の内閣は、政黨内閣としては最も醜惡を極め、特に人才の選叙に於て當を得ざるもの頗る多かりき。黨派の腐敗漸く此の時より助長し、政界の溷濁復た濟ふ可からざるの状態に陷りたり。是に於てか、公の政黨内閣に對する信念は、多少の動搖を始め來りしものゝ如くなりき。公曰く、政黨内閣は暫らく斷念せざる可からず[#「政黨内閣は暫らく斷念せざる可からず」に白三角傍点]と。但だ公の君國に忠實なる、憲政の運用を圓滑ならしむるの道に於て、曾て一日も之れが講究を忘れたることあらず。故に第十八議會に於て[#「故に第十八議會に於て」に傍点]、桂内閣と衆議院と衝突するや[#「桂内閣と衆議院と衝突するや」に傍点]、公は無益の紛爭により
前へ
次へ
全497ページ中439ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
鳥谷部 春汀 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング