て侯の人物及び經綸に深厚なる同情を表する能はず[#「余は不幸にして侯の人物及び經綸に深厚なる同情を表する能はず」に傍点]。されど其の六十有二の高齡に達して[#「されど其の六十有二の高齡に達して」に傍点]、意氣未だ毫も衰へず[#「意氣未だ毫も衰へず」に傍点]、自ら政友會を發起して[#「自ら政友會を發起して」に傍点]、政治的新生涯の人たるを期す[#「政治的新生涯の人たるを期す」に傍点]。其の頭腦精神の強健なる[#「其の頭腦精神の強健なる」に傍点]、亦一代の豪といふ可し[#「亦一代の豪といふ可し」に傍点]。
 余は侯が政友會を發起したるを以て政治的新生涯に入るといふは何ぞや。侯が藩閥の範疇を脱して國民的政治家と爲るの序幕は、疑ひもなく政友會の組織なればなり。侯は曾て超然主義の政治家なりき。今や侯は其の宿見を抛棄して自ら政黨を組織せり。是れ侯の歴史に一大段落を作りしものに非ずや。唯だ侯が淡泊に舊自由黨に入らずして、別に自家の單意に依りて政友會を發起したるは、稍々狹隘自重に過ぎたるの嫌あれども、是れ寧ろ侯の老獪のみ[#「是れ寧ろ侯の老獪のみ」に白丸傍点]。
 曩に舊自由黨總務委員が伊藤侯を大磯に
前へ 次へ
全497ページ中43ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
鳥谷部 春汀 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング