第4水準2−4−16]然として笑へり。冷やかなる笑に非ずして温かなる笑なりき。彼れは遽に容を改め、極めて莊重なる辯舌を以て犯罪を天性に歸するの理論を否定せり。彼れは犯罪を以て人生の不平に原本すと爲し、家に財なく、身に技術なきは不平の由て起る所なるがゆゑに、犯罪を減少せむとせば、國家は貧民に教育を與へて、生活に必要なる技術を授けざる可からずと熱心に論じつゝ、靜に椅子を離れて傳鈴を押せり。彼れは響に應じて來れる書生に、婦人同情會規則を持參す可きを命ぜり。斯くて一葉の印刷物を記者に渡たしたる彼れは、稍々其の顏面を曇翳を浮かべつゝ、
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眞の慈善家は大抵資財なく[#「眞の慈善家は大抵資財なく」に傍点]、富めるもの多くは慈善家にあらず[#「富めるもの多くは慈善家にあらず」に傍点]、儘ならぬ世や[#「儘ならぬ世や」に傍点]。
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と語り終りて座に復せり。

      其四 彼れの人格
 記者が彼れに於て見たる人格には[#「記者が彼れに於て見たる人格には」に傍点]、膽識雄邁[#「膽識雄邁」に傍点]、霸氣人を壓する大隈伯の英姿なく[#「霸氣人を壓する大隈伯の
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