ざるを以て」に白丸傍点]、此の一成功を沒するに忍びざるなり[#「此の一成功を沒するに忍びざるなり」に白丸傍点]。(廿九年五月)
最近の板垣伯
其一 劈頭の喝破
曾て自由神の化身として、憲政の天國を建設す可く藩閥の惡魔と健鬪したる老英雄も、今や其の屠龍搏虎の手を收めて、平和にして且つ女性的なる社會事業に老後の慰藉を求むるの人となりぬ。曰く風俗の改良、曰く日本音樂の改良、曰く勞働者の保護、曰く盲人の教育、曰く女囚乳兒の保育、是れ彼れが老夫人の熱切なる同情と協力とに頼りて[#「是れ彼れが老夫人の熱切なる同情と協力とに頼りて」に白丸傍点]、現に社會に寄與しつゝある生涯の殘光なり[#「現に社會に寄與しつゝある生涯の殘光なり」に白丸傍点]。彼れの前世紀は、血の歴史なり、戰鬪の歴史なり、波瀾多き歴史なり。彼れは屡々不忠不臣の名を受けたりき。彼れの一擧一動は常に探偵の報告資料たりき。彼れの黨與は總て叛逆匪徒を以て目せられたりき。あらゆる迫害、あらゆる追窮は、高壓力に富める武斷政府に依りて間斷なく試みられたりき。豈唯だ此に止らむや。彼れは反對黨の毒刄に傷けられて殆ど生命を喪は
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