[#「余は自己の力に依りて公使と爲れり」に傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]自由黨の援助に依れるに非ず[#「自由黨の援助に依れるに非ず」に傍点]と※[#白ゴマ、1−3−29]其心事實に斯くの如し。
且つたとひ自由進歩の兩派をして分裂するの不幸あらしむるとするも、自由黨は彼れが爲に一種の迷室なり※[#白ゴマ、1−3−29]蓋し自由黨の背後には一怪物の伊東巳代治男あり※[#白ゴマ、1−3−29]故に彼れは自由黨と進退を倶にするに於て、先づ此一怪物と兩立し得るや否や、若くは善く之を壓服し得るの勇者たるや否やを考へざる可からず※[#白ゴマ、1−3−29]况むや彼は從來自由黨中の土佐分子と相容れざりしに於てをや※[#白ゴマ、1−3−29]彼れ豈熱心なる自由派たるを得むや。
故に彼は必らずしも強て現内閣に反對するものに非ず※[#白ゴマ、1−3−29]現内閣にして苟も自ら彼れを敵とせずむば、彼は妄りに現内閣の敵と爲らず、彼れの放膽不諱[#「彼れの放膽不諱」に白丸傍点]、剛愎不遜の言動あるは[#「剛愎不遜の言動あるは」に白丸傍点]、多く其主我的意思と衝突するの場合に在り[#「多く其主我的意思と衝突するの場合に在り」に白丸傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]彼は自己の利害の爲に[#「彼は自己の利害の爲に」に白丸傍点]、沈默の必要を知るの聰明あればなり[#「沈默の必要を知るの聰明あればなり」に白丸傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]之れを要するに彼れの政界に於ける去就進退は極めて單純なり※[#白ゴマ、1−3−29]而も世間彼れを風雲變幻の魔術師の如くに想像するは何の滑稽ぞ。(三十一年九月)
星亨の自由黨
(一)政治的喜劇
横濱埋立事件は極めて簡短なる問題なり※[#白ゴマ、1−3−29]其性質より見れば土木問題なりと謂ふ可く、其利害より見れば個人問題なりと謂ふ可く、又其範圍より見れば地方問題なりと謂ふ可し※[#白ゴマ、1−3−29]唯だ斯くの如きのみ※[#白ゴマ、1−3−29]其一得一失何ぞ曾て天下の公是非と關せむや※[#白ゴマ、1−3−29]而も此の事件の眞相一たび世間に暴露せらるゝや、忽焉として茲に政治的喜劇の舞臺を開展したりき※[#白ゴマ、1−3−29]種々の脚色は幾多の人物に依て描かれ、醜陋唾棄す可きもの、滑稽笑ふ可きもの、拙劣憐む可きもの紛々として舞臺に出入し、世人をして殆ど百鬼夜行の畫圖を視るの感あらしめたり※[#白ゴマ、1−3−29]其顛末を略叙すること左の如し。
(二)排星運動の動機
土佐派が横濱埋立事件を以て星氏の罪惡を彈劾せむとしたるは極めて滑稽なり、曰く星氏が埋立出願の許可を擔保して、議員買收金を小山田某より支出せしめたるは、自由黨の名譽を毀損したる一大非行なりと※[#白ゴマ、1−3−29]言や善し、是れ或は一大非行なる可し※[#白ゴマ、1−3−29]公徳上の罪惡なる可し※[#白ゴマ、1−3−29]されど之れを彈劾して正義の審判を求めんとするものは、先づ天下に向て自己の良心に一點の陰翳なきを證せざる可からず※[#白ゴマ、1−3−29]知らず土佐派は果して星氏の不道徳を論ずの權利ある乎。
星氏は自由黨の[#「星氏は自由黨の」に白丸傍点]純代表者[#「純代表者」に丸傍点]のみ[#「のみ」に白丸傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]彼れは實に自由黨の爲さんと欲する所を爲したる自由黨の實際的首領のみ[#「彼れは實に自由黨の爲さんと欲する所を爲したる自由黨の實際的首領のみ」に白丸傍点]※[#白ゴマ、1−3−29]横濱埋立事件の如きは[#「横濱埋立事件の如きは」に白丸傍点]、唯だ土佐派の爲さんと欲して爲す能はざりしものを爲したるに過ぎず[#「唯だ土佐派の爲さんと欲して爲す能はざりしものを爲したるに過ぎず」に白丸傍点]、自己の爲さむと欲して爲し能ざりしものを爲したるが故に[#「自己の爲さむと欲して爲し能ざりしものを爲したるが故に」に白丸傍点]、其人乃ち排斥す可しと言ふ[#「其人乃ち排斥す可しと言ふ」に白丸傍点]、寧ろ抱腹絶倒せざらんと欲して得んや[#「寧ろ抱腹絶倒せざらんと欲して得んや」に白丸傍点]。
(三)土佐派の嫉妬
土佐派の衰へたるや太甚し※[#白ゴマ、1−3−29]板垣伯の資望、林氏の老獪、片岡氏の質實を以てすと雖も、復た一人の星氏の勢力に及ぶこと能はず※[#白ゴマ、1−3−29]而も星氏の傲岸なる、殆ど土佐派を眇視して自由黨を我物顏に振舞ひ、其權勢を用ゆること往々度に過ぐるものあるも、土佐派は亦終に之れを奈何ともする能はず※[#白ゴマ、1−3−29]乃ち之れを奈何ともする能はずと雖も、其自由黨を擧げて獨り星氏の脚下に拜跪せしむるは、固より土佐派の樂まざる所なり※[#白ゴマ、
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