たる山縣内閣の與黨と爲ると共に」に白丸傍点]、衆議院に一名の政友を有せずと目せられたる山縣侯は[#「衆議院に一名の政友を有せずと目せられたる山縣侯は」に白丸傍点]、此に新たなる忠實の政友を有するに至れり[#「此に新たなる忠實の政友を有するに至れり」に白丸傍点]。
其三 山縣系統の兩派
國民協會は既に山縣侯の忠實なる政友と爲れりと雖も其中固より兩派あり[#「其中固より兩派あり」に白丸傍点]。保守主義を有するものと[#「保守主義を有するものと」に白丸傍点]、進歩主義を有する者と是れなり[#「進歩主義を有する者と是れなり」に白丸傍点]。首領品川子[#「品川子」に丸傍点]は稍々保守主義に近く[#「は稍々保守主義に近く」に傍点]、政黨内閣には反對の意見を有する人なり[#「政黨内閣には反對の意見を有する人なり」に傍点]。佐々氏[#「佐々氏」に丸傍点]の熊本國權派は、初めより絶對的に政黨内閣を非認する保守主義を有するものたり[#「初めより絶對的に政黨内閣を非認する保守主義を有するものたり」に傍点]。之に反して大岡[#「大岡」に丸傍点]、元田[#「元田」に丸傍点]等の一派は、時勢の變に際して政黨内閣の避く可からざるを信ずるものなり[#「時勢の變に際して政黨内閣の避く可からざるを信ずるものなり」に傍点]。彼等は精確の意義に於ける進歩主義を有するものにあらざれども、少なくとも時勢と推移するの術を解するものなり[#「少なくとも時勢と推移するの術を解するものなり」に白丸傍点]。此點に於て佐々[#「佐々」に丸傍点]等の國權派と内政に對する政見を異にするは疑ひもなき事實にして、其山縣侯の爲に謀る所以のもの隨て自ら徑庭あるを見る可し[#「謀る所以のもの隨て自ら徑庭あるを見る可し」に白丸傍点]。國民協會以外に於ける山縣系統の人物を見るに、亦進歩保守の兩派に分かれたり[#「亦進歩保守の兩派に分かれたり」に白丸傍点]。保守派の最も極端なるものは、都筑[#「都筑」に丸傍点]、園田[#「園田」に丸傍点]、野村[#「野村」に丸傍点]、古澤[#「古澤」に丸傍点]等にして、彼等は啻に政黨内閣を忌むこと蛇蝎の如くなるのみならず[#「彼等は啻に政黨内閣を忌むこと蛇蝎の如くなるのみならず」に傍点]、政黨と提携するすら既に内閣の尊嚴を失ふものなりと信ずるものゝ如し[#「政黨と提携するすら既に内閣の尊嚴を失ふものなりと信ずるものゝ如し」に傍点]。憲政黨内閣の成るや、園田男[#「園田男」に丸傍点]は其内閣を認めて帝國の國體を破壞するの内閣なりと罵り[#「内閣を認めて帝國の國體を破壞するの内閣なりと罵り」に傍点]、自ら警視廳を煽動して之れに反抗を試みむとしたる人なり[#「自ら警視廳を煽動して之れに反抗を試みむとしたる人なり」に傍点]、野村子[#「野村子」に丸傍点]は曾て客に語りて、議會は幾たびにても解散して可なりと主張し[#「議會は幾たびにても解散して可なりと主張し」に傍点]、豫算不成立の不幸は[#「豫算不成立の不幸は」に傍点]、内閣大臣以下腰辨當にて之れを償ひ得可しとの奇論を吐きたる人なり[#「内閣大臣以下腰辨當にて之れを償ひ得可しとの奇論を吐きたる人なり」に傍点]、古澤氏[#「古澤氏」に丸傍点]は往時自由黨に入りて民權を唱へたる人なれども、其後長派の恩顧を受くるに及で、一變して藩閥黨と成り、近來は帝王神權説を主張して[#「近來は帝王神權説を主張して」に傍点]、極力政黨内閣に反對し[#「極力政黨内閣に反對し」に傍点]、都筑氏[#「都筑氏」に丸傍点]は、井上伯が嘗て官吏と爲るの外には潰ぶしの利かぬ男なりと評せしほどの自然的吏人にして[#「官吏と爲るの外には潰ぶしの利かぬ男なりと評せしほどの自然的吏人にして」に傍点]、吏權萬能の主義を固執せる保守的人物なり[#「吏權萬能の主義を固執せる保守的人物なり」に傍点]。山縣内閣の將に自由派と提携せむとするや、氏は最も強硬なる非提携論者にして、山縣侯に勸むるに飽くまで超然内閣の本領を立つ可きを以てしたりといふ。聞く氏は山縣系統中に在て、最も才氣峻峭なる壯年政治家なりと[#「最も才氣峻峭なる壯年政治家なりと」に白丸傍点]。然るに其時務を辨ずるの迂濶なること斯の如きは[#「然るに其時務を辨ずるの迂濶なること斯の如きは」に白丸傍点]、豈學に僻する所あるが爲ならずや[#「豈學に僻する所あるが爲ならずや」に白丸傍点]。朝比奈知泉二宮熊次郎[#「朝比奈知泉二宮熊次郎」に丸傍点]の兩氏は、山縣侯に深厚なる同情を表する政論家なり。朝比奈[#「朝比奈」に丸傍点]氏は曾て侯の機關たる東京新聞主筆として、夙に非政黨内閣を主張し[#「夙に非政黨内閣を主張し」に傍点]、其後日々新聞に筆を執るに及でも、終始其主張を改めざる人にして[#「終始其主張を改めざる人に
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