とである。若し窓辺によって射《い》るとして、的の下っている樹まで十メートルを距《へだ》て置きたらんには、中々あたること六《むつ》ヶ|敷《し》く、殊《こと》に風に樹のゆれて的のクルクル動き出すに於ては、更に難中の難であって、もし之を美事《みごと》に仕止めるようだと、莫大なる会費を出して射撃|倶楽部《クラブ》員になって練習を積むのに比べて、簡易と経済に於て天地|霄壌《しょうじょう》の差がある。
爪磨きとしての効用
爪を鋏で切りっぱなせば角《かど》があって方々へ引っかかる。この角をなくするために鑢《やすり》というものがあるが、おいそれと常に間に合うものではない。これには十銭白銅貨の中央の穴を爪の角に当ててガリガリと削ってみると非常に気持ちよくとれる。ことに新鋳造《しんちゅうぞう》のものは中々よく削れてよろしく、造幣局がなるべく毎年新鋳造貨を出して貰いたいと思う程である。爪をすべて削りおえた後は、机上《きじょう》に該貨《がいか》をポンと叩けば、爪の粉は忽《たちま》ちとれること妙なり。
自働販売器操作の効用
十銭白銅貨や五銭白銅貨をもって自働販売器の類を操作させることは、夙《つと》に
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