0
しかししばらくこの計算をながめてゐると、そのうちに有力なる手懸りが發見されるのだ。そこが興味津々たるところだ。
すなはち、まづ第一の手懸りは、乘數の十位の穴は、1であるといふことだ。なぜなれば、上から四段目を見ると、三桁の數であり、その百位は9に始まつてゐる。しかるに被乘數を見ると、やはり三桁であり、百位の數字は9である。すると乘數の十位は1であらねばならぬことが分る。さうなると上から第一段目と第四段目とは同じ數である。そこで上のやうに穴を二つふさぐことができた。
97□
× 18
―――――
□□□0
97□
―――――
175□0
第二の手懸りは、乘數の一位の8を、被乘數の一位の□に掛けると、その答の一位は、8の字の下にあるとほり0となるのだ。さういふ場合、□はどんな數字でもいいといふわけには行かぬ。すなはち□は0か5かのどつちかであらねばならぬ。さうでないと第三段目の右端の數字は0とならない。
では、0か5か、どつちであるか。それを判定する段取に移る。
□は0ではない。なぜなら、第三段目は 7760 となり、第四段目は 970 でそれを加へると、第五
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